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学校、そして学校帰り
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学校は、つまらない。
いや、楽しくすればいいんだろうけど。無気力な俺に、そうしようとする原動力なんて、どこにもない。ただ、授業が始まって、終わって、友達と話して、お別れして。その繰り返しの毎日。
「…湖太郎、どしたのそんな顔して。さては初恋の人と再会した…とか?」
朝学校来たら一番にそう話しかけられた。
この勘が優れている友人は佐野大翔(サノ ヒロト)で、俺と同じ中学校だったやつ。大翔はなんというか、変わったやつで、俺が違う学校行く!と言ったときにじゃあ俺も、と同じ高校受けてきた。で、特に勉強したところ見てないけど、受かった。そんくらい頭良くて顔は中の上、くらい。
「……お前の勘をどうにかしろ…」
それだけ言って机に突っ伏した。この調子じゃ、きっと初恋が雛川だってバレてんだろうなぁ…とか思う。ああ、死にたい……。
「まあまあ…。湖太郎は嘘つかなくていい子ってことじゃん」
なんて、訳も分からないようなことを言っていつも俺を丸め込んでるのもこいつ。よしよし、とポンポン頭を撫でられる。米崎さんの手は…もっと、やっぱり大きい、気がする。そんな事をぼやんと考えては考えを振り払う。
それからも大翔とその他友人A.Bと話しつつ、いつも学校を乗り越える。大翔以外は、仲いいんだけど名前はA.Bと勝手に心で呼んでいる。
すまん…、面倒で…。
__
帰りはいつも凛子と。大翔が凛子に譲れと言っても凛子は
「私がストーカーにあったらどうするのよ」
などと寝言を言って退けている。黒帯をストーカーするやつ……絶対死ぬな…。としか思えない。ごめん、凛子。凛子はなんだかんだ言って、ストーカーされそうなほど確かに可愛い…いや、可愛いというよりは、綺麗?かな。けど明らかに近づくなオーラあるから誰も近づけないかと…。
「んで、米崎さんはどーなったの?」
2人になった途端凛子は最近そう聞く。
「……別に、何も?」
「白状なさい」
凛子は、俺のこととかすぐわかるから、こんなときに隠し事したって無駄なのは知ってる。隠し事する必要がないことも、知ってる。
「……りお、ねぇ」
全部話した後、そう呟いた。やっぱりそこ気になるのか。
「…まあ、なんか大切な人っぽいよね。どんな人かは知らないけど。……心残りなら聞けば?」
「また拒絶されたら…」
「そこはあれよ。…えーと、ガッツ?」
ガッツで楽に生きていけたら苦労してないよ、凛子。とりあえずその助言はまあ頭に入れて、凛子と別れて家に入ろうとした。
「ふふ、悠ったら」
家の前で、というよりお隣さんの家のまで話してる男女。悠、聞いたことあるな、と思って視線を上に上げると米崎さん。ああ、悠って言うんだっけ。2人はなんか仲よさそうな感じがして、思わず声が出なかった。
「あ、桐谷くん。おかえり」
米崎さんは少し微笑んでそう言った。優しそうな顔。この隣の女の人が、そうさせているのだろうか。チク、まただ、この感じ。好きだから、痛む。
「おー、初めて見た。隣の子?悠がいつもお世話になってます。悠の、姉の米崎透子(トオコ)です。初めまして。」
確かに、米崎さんに、えと、悠さんに、似てる。整った顔とか、綺麗な髪とか。俺………お姉さんに何チク、と来てんだ。でも…よかった、ような。お姉さんは、りお、さんじゃない。
だったらりおさんって…。
「ええと、米崎さん今帰りました。そして米崎さんのお姉さん、初めまして。桐谷湖太郎と言います。」
なんか緊張するなぁ。どっちも米崎、だし。
一通りの世間話をした後、2人がもう俺を見なくなったし、今日は話せないかな、と思って家に入ろうとした。
「そいえば…悠。もう、大丈夫なの?……莉緒ちゃんのこと」
お姉さんの口からそう唐突に出て来た。聞いたらだめだよな、と思ってドアをすぐに閉めた。
大丈夫…って、なんだろう。
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