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昔話
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米崎さんには幼馴染がいたらしい。
久坂莉緒(クサカ リオ)っていう米崎さんと同い年の女の人。家も近所で、小中高、って同じで。
もう、うんと幼い頃から好きだったらしくて、高校1年の時に、告白して相手も同じ気持ちだったみたいで、付き合って。
そんな付き合いは円満だったんだけれど、高校2年のある日。
帰ろうか、って一緒に帰っていたら彼女が突然、歩行者信号機が赤を指しているのに横断歩道に飛び出して、危ないよって手を出そうとしたけど彼女まで手伸びなくて、莉緒さんは車に轢かれて
意識不明。
彼女が横断歩道に飛び出して米崎さんの方を振り向いて言った言葉は
「悠、ごめんね。」
---莉緒さんは切なそうな笑顔をしたらしい。
その後、莉緒さんは一命をとりとめたものの、両親からもう会わせない、って怒られて、入院先も教えられなかったし、引っ越しだってされて、どこにいったかもわからない。
「………え、っと…、莉緒さん、何で…。」
疑問、しか残らなかった。円満で、うまくいってただろうに。
「…莉緒は、俺と付き合ったことで、密かにいじめられてたって、あとで莉緒の友達に聞いた。俺のこと、好きな女子達から。」
米崎さんの涙がツゥー、と頰を伝った。
「…何で俺に相談しなかったのか、って思ったでしょ。当時、俺も思った。けど、莉緒はそんなこと言えるような子じゃなかったし、俺も頼りなかっただろうし。莉緒の友達は口止めされて無理だったって。
んで、俺がこの間15時は莉緒に告白した場所に行ってて。その時も15時くらいだからもしかしているかなーって。いなかったけど、ね」
俺は何を話せばいいのかわからなくなった。なんて言えばいいのか。話してくれたのに。
米崎さんは涙を拭うとまた悲しそうな微笑みをした。
「米崎さん…、莉緒さんのこと、す、好きなんですね……………まだ」
その言葉しか出なくて。言葉が震える。
出した言葉が、俺の中に静かに重く流れ込む。
米崎さんは、今でも-------------。
「ん…そうだね…………、愛してるよ。」
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