アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
優柔不断
-
「えと…あ、すみませ……げ、」
「げ、とはいい御身分で。なぁ、湖太郎?」
……………雛川…。にこやかでいらっしゃる。
というか、なんでいるの貴方。
「いや、ごめん…あの、意図してなくて…、嫌とかじゃなくて。びっくりしすぎて……え、えへ?」
精一杯の可愛子ぶりっ子(?)。
自分でも吐きそう。おえ。何キャラだよ。
「…湖太郎さ、それやって可愛いと思ってんのか。通じんの俺だけだぞ。」
軽蔑の瞳とか久しぶりに見ます、はい。
ごめんなさい。って、え?
「え、雛川通じんの?」
「あたりまえだろ」
…それ素直に照れるんだが。というか雛川こんなこと言うキャラだったっけ………。
思わず過去の言動を思い出す。
『なぁ湖太郎さ、好きって、言ったらどうするよ?』
『え、誰が誰を?』
『俺が、お前を』
『〜〜〜〜〜〜〜〜』
『ふは、可愛いな湖太郎』
…
あれ、俺なんて言ったんだっけ。思い出そうとしても思い出せない。でも確かに雛川って可愛いとか言うやつだったわ…、つか俺その時点で気づいて2人付き合ってハッピーで終わればよかったじゃんか…。俺本当に…。
「お前、俺が好きだっつったらどうするか聞いた時に千歳は皆のだものだって言ってたけど……、俺はもう、お前だけの俺でいたいから。」
俺が過去の自分を思い出して打ちひしがれてると雛川が俺の方をまっすぐ見つめて、そう強い口調で伝えた。雛川のことは、もう終わってたと思ってたけど…こうこられると、心臓が唸る。なんでこんな直球に言えるんだよ…。
自分は、優柔不断だと思う。米崎さんが好きなのに、雛川に、揺れて。
人の心情なんて、顔を見ればわかるって、思ってた。けど、そんなことなくて。俺は中学の時雛川のことわかってなくて。
「……えと、あの、雛川さん……」
「なんだよ」
「ここ……学校のすぐ前でして。友達、とか…きちゃうから、その…歩きません?」
気づいたのもついさっき。
さっきから同じ高校の人達がジロジロ楽しそうに見てくる。多分雛川は割と考えてくれている方だから、声量は小さくても、なんか雰囲気で伝わっているものはあるのかも。
雛川は、あー、そうだな、とポツリと呟いて隣に並んでトボトボ歩いた。
隣をちらりと見ると雛川は何か考えるような顔をしていた。改めて思うけど、雛川は中学の時より背高くなった。で、顔も少し大人っぽくなった…し、ぐいぐいくるようになった…ような。
…も、恥ずかしくなるからやめよう……。
「…じゃあな。湖太郎、翌朝さ、前に電車でお前に会った時間に乗るからさ、お前も来て。」
気がついたら、もう俺の最寄の駅に着いていて。俺は電車から降りて、雛川はもう1個行ったとこだから、電車の入り口でそう話しかけて来た。
「…えと、分かった。」
俺の返事とともに電車のドアが閉まる。手を振ってさよならする。電車が出ると何やら足がフラフラしてきた。緊張、してたのか俺。
…そりゃそうだよなぁ…、キ、キスされてなんか告白、されて、随分ぐいぐい押されて。
こうやって、明日の約束して。
俺、完全に流されてる。好きな人がいるのに悪いこと、だと思うけど、言って、雛川が俺に興味無くすのもなんか寂しい、ような。
俺って本当、優柔不断……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 48