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小さな嫉妬(?)
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ピーンポーンとインターホン。
「やほ、こーちゃん。今日は早退だって?聞いたよ。大丈夫?………って、え?…雛川くん?こーちゃん…勝手に同棲しちゃダメよ?」
なんて真面目に凛子が言ってくるものだから思わず笑った。
「同棲してない。泊まってくの。…あ、今日帰れなくてごめん。大丈夫だった?」
「ああ、今日は晃が部活行かないで送ってってくれたわ、彼も黒帯だからね一応。…じゃあ元気そうな顔見たし、帰ろうかな」
カップル揃って黒帯とか無敵すぎて何も言えない。というか恐ろしい。勝てない。
いや、まず戦わないけど。
「凛子さんお久しぶりです。湖太郎の家泊まらせてもらいます。帰るなら送って行きますよ。」
「あら、そう?じゃあこーちゃんまたね」
「えと、あ…俺行くよ。千歳が待ってて。」
千歳をぐいぐい押して凛子の手握って、というよりは掴んで早々に家を出た。この時間になるとやっぱり春でも暗いんだなぁ、と。もうすぐ夏なのに。
「…こーちゃん、今雛川くんのこと千歳って呼んだでしょ。どこまでいったの?というか今いっちょまえに嫉妬したでしょ」
くすくす、と凛子が笑うのは余裕があるから。
これだから彼氏持ちは…!しかもあの王子様だしな。どういう経緯で付き合ったんだか。
柔道黒帯の会みたいな?…なんか怖い。
確かに、千歳が凛子送ってくって言ってもやっとしたけど、……嫉妬、なんかじゃ…ない、と思う。だって都合良すぎじゃん、俺。そんなこと言ったら。
「話せば長いんだよなぁ…、まず、俺が米崎さんにフラれたのは知ってたっけ?それで…」
なーんて長い話をつらつら話していたらあっという間に凛子の家。近いんだな、案外。
「米崎さんよりも、雛川くんでしょ!」
なんて微笑んで言われて、また明日ね、って手を振られてドアを閉められる俺って。
米崎さんよりも、千歳。
その意味は、確かにわかる。そっちの方が大切にしてもらえるのも、きっとそう。
けどなんでだろう、このモヤモヤ。
こんな感情で、千歳とは、向き合いたくない。
千歳とは、ちゃんと折り合いついた形で、向かい合いたいと思う。
待っててくれるといいな、なんて。
そう思ってしまう自分を許してほしい。
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