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「空くん!よ、かったぁ…」
伊藤先生が飛び込むようにしてくぐってきた扉はバァァアンという効果音がピッタリなほど乱暴に開かれた
そのままの勢いで僕の方まで来て、いきなり手をぎゅっと握りしめられた
「なんで、言ってくれなかったの…
心配しすぎて死ぬかと思った…」
いつも陽気な伊藤先生のか細い声を聞くと、なんだか泣きそうになる
「肋の骨がね、前はヒビが入ってるだけだったらしいんだけど
その、今回の件で完全に折れちゃって臓器がちょっとだけ傷ついちゃったみたいなんだ」
「えっ、それ大丈夫だったんですか」
折れた骨が臓器を傷つけるって聞いただけでなんだか下腹部のあたりがきゅう、とする
痛そう
「手術するほどでもなかったからほんとに軽くだったみたいだね
もう、不幸中の幸いってこのことだよほんとに…」
「心配かけたみたいで、すみませんでした」
「呼び出しなんかがあったら誰かを呼ぶこと、頼ること!
どうして馬鹿正直に行っちゃうの…」
「すみません」
「これからは絶対にそうしてね!
高見先生にさっき目が覚めたって連絡したところだからもう少しで来ると思うんだけど」
「わざわざすみません」
「いいからいいから」
ちょっと穏やかな日々が過ごせたと思えばこれだ
僕は期待するだけ無駄なんだ、むしろなんで期待なんてしちゃったんだろう
あぁ、でも
律とは仲良くなれたらいいな…
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