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「こっちが保健室、で、あっち行くと体育館があるよ」
しばらく校内を歩き続けたからか、小腹がすいてきた
それは律も同じみたいで、さっきから何回かお腹が鳴ってるのを聞こえなかったフリをしておいた
「はー、やっぱり、広いね」
「最初はほんとに迷うと思う、あっちに食堂があるから、なにか食べようか」
「まじ?お腹すいてたんだよな、何がおすすめ?」
「そうだなぁ…僕はよく親子丼を食べるよ」
「親子丼!俺めっちゃ好き!それにしよ」
「メニューたくさんあるし見てから決めるといいよ」
「今、俺の口は親子丼になったからもう何も受け付けない」
「なにそれ、変なの」
2人で笑いながら歩くと、すぐに食堂に着いた
今日は僕も親子丼にしようかな…
1ヶ月ぶり?ほぼ2ヶ月ぶり?に食べたくなった
扉を開けると、本来は授業がある時間なので誰もいなかった
貸切だね、なんて言って券売機まで律を案内する
「わ、割と安い
こんなお坊ちゃま校だから食堂でも1000円とかしたら面白いなって思ってたのに」
「そ、れは、高すぎじゃないかな…」
親子丼の券を2枚買って受付のカゴに放り込んでベルを鳴らす
昼休みだったら、カゴのとこに常に人がいてすぐ注文されたことになるけど
こんな時間だから人が奥にいるのだ
「あれ、まって、空2枚買った?」
「え、あ、うん
ごめん、他のやつ食べたかった?」
「ちがくて!案内してくれたお礼に奢ろうと思ってたのに!
せめて自分の分くらい払うよ」
「いいよいいよ、入学前祝い?みたいな
とりあえず、気にしないで」
「また今度、なんか奢るから!
ありがとね」
「気にしないでいいのに…」
しばらく話をしながら待っていると、出汁のいい香りをさせた親子丼が2つ、おぼんに乗せられた
「親子丼2ねー」
食堂のお姉さんの元気な声が響いた
そしてそのおぼんを手に取り、律と2人でお腹減ったねーと言いながら窓際の席に着いた
「「いただきます」」
久しぶりに食べる親子丼はいつもの数倍、数百倍美味しかった
律も美味しい、と言いながらぺろりと平らげていた
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