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「空、好き、空…」
耳元で律の声がして、律の息が首にかかる
さっきの人と感じることは同じことなのに嫌悪感はまるでなくてむしろ安心して幸せな気持ちになる
ふと律の体温が離れていって、喪失感が襲った
「なんて顔してんの、空
めちゃくちゃ泣いてるし」
律の細いけど男らしく骨ばった指が、僕の目尻を撫でた
「り、律だって泣いてるくせに」
鼻を鳴らしながら 反論すると、律は少し恥ずかしがって目線を下にやり、かと思えば開き直ったように明るい目でこちらを見つめた
「だって、嬉しくてしょうがないんだ」
その言葉を聞き終えると同時に、律の端正な顔が近づいてくる
そして、2人の距離が、ついに0になったとき
僕の幸せは、最高潮に向かって上っていった
少し触れるだけの拙いそれは、すぐに離れていってしまう
しかし離れたことで交わった目線は、温かみがあって、また幸せだと感じた
2人でなんかちょっと恥ずかしいね、なんて言いながら笑って
「帰ろっか」
そうして差し伸ばされた手は、紛れもなく僕に向かっていて
「結局花火全然見れなかった」
「文句言うなって、また、来年見よう」
「…うん、来年、ね」
律の言葉も行動も、全てが僕に幸せを与えた
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