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「やだよ、律っ…」
抵抗したところで、母さんのあの口ぶりからしてもう決定事項であることは分かっていた
それでも、どうしても嫌なんだ
…律と離れたくないんだ
廊下をバタバタと走って玄関から外に出た
夏の強い日差しが、綺麗に整えられた木々の間から容赦なく照りつける
後ろから母さんが僕の名前を叫ぶ声がするけれど、もう止まれない
捕まったらどうなるか分からない
せめて、精一杯抵抗したいんだ
無我夢中で走って門を抜けようとしたところで、誰かにぶつかって尻もちをついた
「と、うさん…」
肩で息をしながら見上げると、先程の母さんと同じようにゴミでも見るかのような目と目が合った
息が、浅くなる
「なんだ、帰ってたのか
そんなに走ってどこに行くつもりだ?」
言葉だけ見れば、それは父親が子供を心配してかけるそれだ
だがそこにはなんの色も温度もない、平坦で冷たくて凍えるようなものだ
「ぅ…あ、いゃ…」
何か、言わなくちゃ
分かってるのに、後ろから足音が近づいてきて、余計に何も言えなくなる
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