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(175) 高見祐介視点
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「おい!何やってんだお前!」
久しぶりにこんなに大声で人を怒鳴った
そのまま殴り掛かりそうな俺を、優が必死に止めてきた
腕を掴んできたから、優の方を見れば、泣きそうな顔で首を横に振った
その顔に力が抜けて、近藤の腕を掴んでいた手を離した
「なんで、言わなかったの?」
「なに、を?」
「具合悪いって、なんで言わなかったの
倒れるとか吐くとか大事になる前に保健室行っておけば良かったじゃん」
近藤の尋問が始まった
違う、お前が気づいてやれば良かったんだ
大事になってもお前はひとつも心配していなかった、早く部屋に帰りたいって、顔に書いていた
早く、海に会いたいって、顔してた
「えと、あの…ごめん…」
空がどんどん俯いて、震えた声で謝罪する
違う、空は悪くない
「おい!近藤!口を閉じろ!」
気がつけばそう叫んでいた
それでも近藤は怯む間もなく空に酷い言葉を投げかける
「俺と海、どれだけ心配したと思ってんの?
海、俺も行くって聞かなかったよ
こんな暗い中、俺がいるからってこさせられる訳ないじゃん
1人で部屋に置いてくるのも心配なのに
それに、昨日……やっぱりなんでもない」
近藤の口から海という名前が出た時、空の肩が揺れた
やっぱり、空は気づいてるんだ
近藤の気持ちが、海に動いていることに
「昨日って…いや、なんでもない、本当にごめん…
僕はもう大丈夫だから、早く帰ってあげてよ」
今にも涙がこぼれそうなへったくそな笑顔
また、大丈夫って自分に唱えて
「おい、空!お前は悪くねえからな!」
空は緩く俺に笑いかけた
まるで、僕は大丈夫って言うように
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