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「おーい、空?
ぼーっとしないで、そりゃ恥ずかしいのは分かるけどめでたいことだって
とりあえず俺の話聞いてよ」
「あ、うん…ごめん」
頭の中にはどうしようしか浮かばなかった
ただでさえ律は海に惹かれてたのに、そんな声が聞かれてたなら
僕は嫌われる一方じゃないか
そんな、事を考えていた時
「俺、律くんのことが好きみたい、なんだよね…
人を好きになるのって初めてだから、空なら分かるのかなって
あ、ほら、同室の人と付き合ってるんでしょ?だから色々聞けたらいいなって思ったんだけど」
ああ、もう
これで晴れて2人は両思い
僕はただの邪魔者だ
「そ、うなんだ
話せることなんて何も無い、けど…」
かろうじてそんな返しをした気がする
頭が真っ白になって、逃げ出したい気持ちでいっぱいだった
「律くんってさ、言い方は悪いけど女性を好きになれないじゃん
まああんなことがあったら仕方ないよね…」
あんなこと
律は海には女性恐怖症の理由を話したんだ
僕には、濁したのに
触れてほしくないのかと思って、律から話してくれるのを待っていたのに
「だから俺にもチャンスがあるんだって思ったら、ああ、好きってこういう事なのかなって
凄い溢れてくるんだ」
僕と同じだ
なんで、どうして
僕の方が一緒に居た時間は長かったはずなのに
どうして
「僕の方が、好きなのに」
「え?ごめん、聞こえなかった」
「ごめん!同室の人から連絡が来て、少し用事が出来たから帰るね!」
「え?ちょ、空!」
僕の中にこんなに汚い感情があるなんて
海より、僕の方が、なんて
なんて烏滸がましい
でも、律が僕のことを思ってくれてなくても、どんどん目に見えて気持ちが離れていっても、僕はやっぱり律が
「好きなんだ…」
お願い、これ以上離れないでよ
付き合ってるのは"まだ"僕だよね?
律は僕が浮気したって思ってるのかな、汚いって思ってるのかな
浮気したのかって、怒ってくれもしない
もうとっくに、離れてしまっているのは知ってる
でも、
「別れたく、ないんだ…」
人が沢山居る校舎を涙を流しながら走るなんて
恥ずかしいけど、それどころじゃなかった
涙が止まらない、早く部屋に帰ってお風呂に入って寝てしまいたい
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