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「ただいま…」
部屋には誰もいなかった
たぶんまた生徒会室に引き摺られていったんだろう
分かってはいたことだけど、2人が両思いだということを改めて突きつけられたことがショックだった
でも何より辛いのは
律に汚い僕が知られていたことだ
「そりゃあ目も合わせたくないし、話したくもないか…」
落ち込んでばかりでもいられない
まずは授業ノート全部作り直さないと
幸いお金は夏休みにヒロさんのお手伝いで稼いだものがまだ残っていた
1番近い寮を出てすぐのコンビニに行くことにした
制服を脱いで外に出られるようにオーバーサイズのお気に入りの黒のパーカーに下はよくパジャマにしている薄めのハーフパンツを履いた
すぐそこに行くだけだしなんでもいいだろう
靴を履いていざ出ようとしたとき、扉が開いた
「あ、おかえりなさい」
スーツを着て変装をしていない素の姿の迅だった
朝早くから居ないと思ったら、実家に行っていたのか
最近優しくされてばかりで、僕は迅さんに対しての恐怖が全くではないけど薄れていた
でもやっぱり実家から帰ってきた迅は不機嫌で少し怖い
「昨日、看病してくれてありがとうございました
おかげで熱も下がって、本当に助かりました」
「あぁ、いいよ別に
たいしたことしてないし」
「今日は僕がご飯作るので、何か食べたいものないですか?
ちょうど今から買い物に行こうと思ってたんですけど」
「なんでもいいよ
………君ってさ、本当に可哀想だね」
「…え?」
それだけ言うとさっさと自室へと戻ってしまった
可哀想って、そんなの初めて言われた
あんな哀れみの目で見られるのは久しぶりで、心が震えた
迅は掴みどころがなくて、やっぱり不思議な人だ
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