アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(207)
-
ちょうど体育倉庫から出ようとしたその時
唐突にすごい勢いで鉄の重い扉が閉まった
「え、ちょっ、とまって…」
思わず1人で呟く
どう考えてもこれは閉じ込められたのだろう
タイミング的にも扉の閉まり方からしても自然現象とは到底思えなかった
急いで扉に手をかけるがガチャガチャと音が鳴るだけで開く気配はない
「もう…嘘でしょ…」
踏んだり蹴ったりとはまさにこの事だと思う
携帯なんてものは教室の鞄の中で電源を切ったまま眠っている
天候的に制服を着ているためか寒くも暑くもない状況はまだ良かった
ただ、暗いのだ
なるべく考えないように授業のことだとかを考える
それにしても、学校の人達は僕と律が付き合ってたことは知らないはずなのに本当に急に態度が変わってしまったものだ
…やっぱり、海が泣き腫らした目で登校してきたことが響いているのだろう
「ああ、暗い…」
いくら他のことを考えていても閉じ込められているこの状況と、埃っぽい匂い、何よりこの暗さでは家の倉庫を思い出してしまう
夏休みに家に帰った時に閉じ込められた時は、律の存在があった
それに、海が助けてくれた
でも、今は?
誰からも恨まれて、憎まれて
唯一である律とはあまり良い別れ方とは言えない別れ方をして
海は僕が傷つけてしまった
このままここに居るのも悪くないのかもしれない、とか現実的ではない馬鹿なことを考えてしまう
誰も助けてくれない、閉じ込めた人の気が済んだら解放してくれるんだろうか
でももしかしたらその人は僕のことなんて忘れてしまうかもしれない
悪い考えばっかり浮かんでくる
チャイムが鳴った
体育は3時間目で、既に授業終了のチャイムは鳴っていたから
もう4時間目が始まるのか
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
209 / 239