アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
(231)(柳野迅視点)
-
「…クソっ」
授業が終わって、空と一緒に帰ろうと教室を出た途端囲まれた
連絡先を教えて欲しいだの、今度お昼ご飯を一緒に食べたいだの、付き合って欲しいだの
こいつらは今までの俺には見向きもしなかった奴らだ
吐き気がした
どうにかあしらって空の教室に行ってもそこには数人の生徒が驚いてこちらを見るだけで空はいなかった
もう帰ったのかと空に連絡を入れようとするとスマホの画面が光った
親父からメールだ
『近藤律に異常な行動はないか?
さっき入った情報だが何か荷物を送ったらしい
同時期に近藤が例の組から薬を買い取った情報もきてる
気をつけろ』
まさか、空に何かあったのか
昨日、空は2件の通知の後丸っきり喋らなくなってしまった
さっきから何回も電話をかけてるけど全く出る気配がしない
とにかく、伊藤先生達に知らせて早く見つけないと、何か嫌な予感がする
校舎内は伊藤先生に任せて、俺は寮を担当することになった
まずは自分たちの部屋
普通に帰ってさえいてくれれば、この変な焦りは笑い話になってくれるのに
部屋はもぬけの殻だった
その代わりに隣から絶え間なく嬌声が聞こえてくる
思わず舌打ちが漏れた
こんなときに、お盛んかよ
寮監に助けを求めるべく部屋から出たときに、気づく
親父は近藤律に変な行動はないかと言った
近藤律の親父は薬を仕入れてそれを息子に送ったんだ
何を目的に?セックスドラッグなら、それを海に使った?
「ヒロさん!いるか?」
「んー?おー、柳野か、どうした?」
「空が居なくなった!連絡がつかないんだ」
「空?空なら今日は普通に帰ってきたぞ、部屋に居ないのか?」
「居ない…あ、なあ羽根田海は?羽根田海は帰ってきてる?」
「守秘義務があるんだがな…まあいいか、海は今日の昼早退してきてそのまま実家に帰った」
「え…ックソ、やられた!ヒロさん、マスターキー出して近藤律の部屋開けて!」
「は?そこに空がいるのか?」
「たぶん…早く行かないと…!」
訳が分からない様子のヒロさんを引っ張って、その間に伊藤先生達にも連絡をした
俺たちの部屋の隣の部屋に入ると、空の苦しげな声が聞こえた
ヒロさんもようやく理解したようで顔色を変えた
走って突進するような勢いで扉を開けると、髪が短くなった空と体を繋げる近藤律の姿があった
近藤律の筋肉質な太い腕は空の今にも折れそうな細い首をギリギリと締め付けていた
「やめろ!テメェ…!」
近藤が一際大きく腰を打ち付けた瞬間、空は線が切れたようにパタリとベッドの上で動かなくなった
気を失う瞬間、見間違いだと、思いたいけれど
空は、笑っていた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
233 / 239