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文化発表会前日1
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文化発表会前日の金曜日。
今日やることと言えば明日の最終チェックと予定確認。あとはいつも通り練習だった。
今日1日は授業がないからみんなだる~んとしている。中には寝ている人もいる。
そんな中僕は廊下を歩いていた。
衣装は自己管理でよろしくと渡され,今日中に1回着て見といてとも言われた。
僕はとりあえず袋を持って屋上へ行こうと思い足を進める。
洋「あれれ?遥ちゃんじゃん。なぁにしてんの?」
遥「洋さん,僕はこれから屋上にでも行こうかと思いまして…。洋さんこそどうしたんですか?階段下にいるなんて…」
洋「いや別に?ただ俺らのクラス劇やるんだけどね?俺それで王子様役で…」
遥「?いいじゃないですか。洋さんって王子様って感じだからかっこいいと思いますよ?」
なんで不服そうな顔をしているんだか…。
何を困ることがあるのか…セイフが多いとか練習が嫌だとかかな。
遥「僕なんか女装ですよ女装。白雪姫の…」
洋「ふはっそうだったな…。まぁ遥ちゃんはどちらかと言うと王子って言うより姫だかんな~。仕方ねぇよ」
遥「…なんで衣装の入った袋を持ってそこにいたんですか?」
洋「最終チェックってことで着てみて下さいって言われた。その後は自己管理らしい。遥ちゃんもだろ?」
遥「…今日中に1回着てみてとも言われました」
苦笑いを作ってみれば「俺も」と洋さんは言った。
そして俺も暇だからついて行っていい?と聞かれ洋さんならいいかな…と思い承諾した。
洋「そういやぁ…」
遥「どうしたんですか?」
洋「2人の騎士の次は3人の犬が増えたって聞いたんだけど…その顔はホントっぽいな~」
遥「犬って言うか…中等部の3年生の子に好かれちゃって。"好きです"って"付き合ってください"って言われたんですけど僕,断ったんです」
洋「ほぅ…そりゃあどうしてか聞いても?」
年上ってやっぱり安心する。
洋さんって兄貴肌だから少し…シンに似てる。
こういった聞き方好きだな。
遥「好きって言われて嬉しかったんです。けど僕は3人のことを恋情で見れる気がしない…なのに適当に返事するのが嫌で……いや,やっぱり建前はやめにします。」
洋「別に良かったのに」
遥「バレてると分かっているのに建前を使うのは嫌です。好きと言う感情が僕は怖いんです。誰かを好きになるのも誰かに好きになられるのも…どっちも同じくらい」
洋「それは…どうして?」
遥「僕にはその気持ちに答える資格も覚悟も持ってないんです。昔から何にも執着が出来ない,好きなものにも好きなことにも好きな人にも…自分にも」
洋「…」
遥「だからかな…誰に何を言われても何も心に響かなくて,ずっと空っぽのままで。…みんなが僕のことを嫌いになってくれた方がずっと楽なんです」
洋「それは…」
遥「他人からしたら逃げでしかないのは分かってるんです。けどやっぱり怖い…」
自分の甘い考えに失笑が漏れる。
結局僕は病気のことや死ぬことを建前に逃げているだけで…あの時からずっと自分から逃げている。
健吾と言ったあの男。
あの日指輪は店に入る前に外の花壇へと置いておいた。今も胸元にぶら下がっている指輪を何故捨てられないのか今も尚悩み続けている。
屋上につき扉を開ける。
外は少し暑い。生ぬるい風が頬を滑る。
洋「遥ちゃんってさ,少し自分に厳しいね」
遥「え?」
洋「そんなことで悩んでたら俺なんて気にがないからな~。俺はそこそこいいとこ育ちで長男だから本当は家を継がないといけない…けど嫌だから父親が嫌うようなことばっかりしてる」
洋さんは自分のことに付いて語り始めた。
しっかりしていると思ってたけど実は家を継ぎたくないという理由で逃げていると言った。
洋「嫌いなんだよ…大人達のあの機嫌取りやら表面上の付き合いやら…気持ちが悪い」
遥「…」
洋「俺はその辺苦手だったけど弟は逆にその辺は得意だった。勉強とかの実力面では上の下で上の上を目指して今頑張ってんの…」
遥「家は…」
洋「さっきも言った通り俺は嫌われることばっかりし
てきた。そんな俺に呆れた父は成績だけ取れたらいいから好きにしていい。けどもしもの時はお前にも次ぐ可能性があることだけはわせれるなって言われて晴れて自由になったのさ」
遥「…」
洋「あぁそんな顔しなくとも別に家族仲はいいから」
すごいと思った。
僕には到底できない。自分の考えを突き通すために考え行動すること。責任と勇気のいる行動…。
洋「だからさ遥ちゃん,もっとわがままに生きてみたらいいんじゃない?自分のしたい用に生きたらさ」
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