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運命-サダメ-5
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1週間のテストは無事に終わりをつげた。
けれど要は僕らと話すことはなかった。
そして今日は土曜日。
僕は朝早くに寮を出た。みんなが起きてからだと着いてくるって言われそうだからね。
外出届けを出し学園を出た。
この数週間ずっと誰かに見られていた…基監視されていた。なんの目的かは多方予想がつく。
丘をおり街へと来る。
ゆくあてもなく歩き回る。
監視が始まったのはあの日。
要が家から電話を受けた日からだった。
写真を撮られたのも知っている。
気づかない方がおかしいだろう。
わざと街外れの人気のない路地裏へと入る。
街に入ってから付けられていることは分かっている。
足を止め振り返る。
遥「もうそろそろ出てきてもいいですよ…。さすがにずっと見られていれば気づきますよ…神谷組,若頭代理…北風龍鳳さん」
コンクリートの地面を硬い靴が歩く音が聞こえる。
ゆっくりと確実に近づいてくる音。
龍鳳「なぜ私だとわかったんですか?貴方は私の顔を知らないはずだ」
遥「えぇ知りません。僕の感はよく当たるんですよ」
目の前に現れた北風龍鳳は黒いスーツに黒い手袋。
グレーの長髪を緩く括り横に流している。
この人が要が居なくなれば組を継ぐことになる人。
少数派主義で仲間だろうがミスを犯せば容赦なく制裁を入れる。そのため実力はあるが部下達からは反対の声が大きい。
もっともっとごつい人を考えてたから少し拍子抜けだ。でも想像通りの雰囲気だ。
汚く滲んだ雰囲気。そして赤く濁った色。
龍鳳「すみません,ここに来る前に少し制裁を下せばならぬ人がでまして…」
遥「制裁ですか…。所でなぜ僕のことを調べたり学園の生徒を買収して写真を撮らせたり監視なんか付けたんですか?」
龍鳳「おや,君なら気がついていると思っていたんですが…」
遥「僕が要の想い人だから…もしくは要の弱点だから…とかですかね」
龍鳳「やはり君は賢い…もし君が要さんの弱点ではなかったら私の部下に欲しいところです」
やっぱり…。
僕が要の弱点だから。
遥「あいにく僕は仲間に制裁を食われるような最低な人の部下になんかなりなくありません…。それより貴方が直々に出てきた理由をそろそろ教えてくれませんか?」
僕は携帯を持った手を後ろへと隠す。
違和感がないように自然に…。
あらかじめ用意していたメールを送る準備をする。
宛先人は清水先輩。
龍鳳「ご想像の通り私が頭になれるように協力してもらうためですよ」
パチリと指を鳴らした途端北風龍鳳の後ろから5,6人の大男が出てきた。
やっぱり……目的は僕の拉致。
メールを送信する。
振動が手に伝わってくる。
送れた。
携帯を後ろポケットに入れる。
そしてポケットのボタンを閉める。
遥「協力しないと言ったら?」
龍鳳「無理矢理にでも…」
張り詰めた空気。
龍鳳さんに意識の全部を使う。
瞬きをした一瞬。僕は反対方向へと走った。
せめて少しでも時間を稼げたら…。
先輩…お願いします。
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