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空に願う
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いつの間にかアナタの気持ちが遠く離れているように感じた。
最近スキンシップが減ったのは、俺以外の誰かを見てるから?
悲しくて溢れ出す涙を止めることができない。
お互いスケジュールが合わなくて、すれ違いの日々が続いていた。
それでも今までならどちらかの家に行き、一緒に寝ることはしていた。
なのに、全く会わないまま1ヶ月が過ぎている。
「...飽きたんやろうか」
何となく自分から逢いに行くこともできず、枕を涙で濡らす夜が増えた。
逢いたい...たったそれだけの言葉なのに、伝えることができない。
伝えることでハッキリと拒絶されるのが怖いから。
名瀬と逢えないだけで、こんなにも弱くなるなんて...。
今までの自分からは想像できない。
逢いたくて、逢いたくて...抱き締めて欲しくて。
名瀬の優しい声で名前を呼ばれたい。
「洸ちゃん」って笑顔で呼んで欲しいよ...。
夜中に温かい感覚を感じて目覚める。
そこには、俺の頬をそっと撫でる名瀬の姿があった。
「名...瀬?」
俺の声に、ビクつき慌てて離れていく温もり。
「ごめん...」
それだけ言って、部屋を出ようとする名瀬を追いかける。
背後から抱きついた瞬間、弾けるように突き飛ばされた。
よろけてベッドに倒れ込む。
その行動が信じられなくて、抑えきれない感情が胸の奥から湧き出る。
「...いやや、名瀬!嫌いにならんとって...」
堰を切ったように溢れ出る涙。
止まらない。
こんな姿見られたくなくて、顔を覆う。
「名瀬がおらんと、俺もう無理や...。こんな風にしたんは名瀬なのに、なんで逃げんねん!なんでっ!!!」
叫び声は口付けで消された。
熱い口付けが何度も繰り返される。
「...っん、ぁ...」
「ごめん、洸ちゃん...ごめんね」
気がつけば、名瀬も泣いていた。
強く抱きしめるその腕から、愛を感じて涙目で名瀬を見る。
「嫌いになんてなってない。俺の自分勝手な嫉妬でこんなになるまで傷付けて...」
「しっ...と?」
「...それだけじゃなくて...色んな気持ちがあったんだけど...」
一呼吸おいて、名瀬は話し始めた。
初めは、仕事に没頭する俺に嫉妬してたこと。
そのうち、自分だけを見て欲しくて、閉じ込めたい気持ちになったこと。
起きてる俺に会うと感情が抑えきれなくなりそうで、夜中にこっそり会いにきてたこと。
泣き顔で眠る俺を見て、自分の事を想ってくれてるんだと感じられて嬉しかったこと。
その感情に負けて、会わないという選択をしてたこと。
「なん...やねん、それ」
複雑な気持ちが胸の中駆け巡る。
それでも、名瀬が俺から離れようとしてた訳じゃないって分かって、今度は嬉しくて涙がこぼれた。
「...仕事に集中すると、周りが見えなくなるの分かってる。でも名瀬のことは1ミリだって忘れたことないで?いつだって逢いたいし、名瀬が望むなら閉じ込められたっていいよ」
「洸ちゃん...!!」
深いキス。
それからはもう、言葉は要らない。
お互いを求めて繋がる。
「んっ...あ、もっと」
何度も、何度も...。
身体中が名瀬を欲していた。
「...ふ...ぁ!あ、んっ」
「洸ちゃん、洸ちゃん!!」
奥まで長瀬でいっぱいになる。
泣いて、鳴いて...声が枯れるまで。
空が白んできても、その行為は止まらなかった。
携帯のコールに邪魔されて、二人身体を離す。
誰からかは分かっていた。
「...まずい...よね」
心配そうな名瀬をよそに、電話に出る。
仕事の時間だなんだって喚くマネージャーの声を遮って、
「......風邪で、声がでぇへんねん。今日の仕事はキャンセルな」
それだけ言うと電源を落とした。
声が枯れてるのは本当のこと。
...理由が違うけど。
慌てるマネージャーの声が聞こえてたが、そんなの無視だ。
「今日は一日、名瀬が俺を閉じ込めるんやろ?」
意味ありげに笑う俺を、嬉しそうに抱きしめる。
もう悲しむことは無い。
*****
たまには仕事サボってもいいかなぁ...なんて。
捨てられたくなくて必死な洸ちゃんを書きたくて考えた話です。
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