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一方通行の想い 洸介片想い、セフレバージョン
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いつの間にかアナタに囚われて、二度とそこから抜け出せない。
それを幸せだと言うほど、もう若くは無い。
でもアナタが求めてくれる事。
それだけは本当に嬉しいと思える。
例えそれが偽りだとしても。
何度身体を重ねても、気持ちまで重なる事は無い。
いつだって想いは一方通行で、届かない。
「...っあ、名...瀬!」
「気持ちイイんだ?可愛い」
キスもしない、シたい時だけ呼び出される...そんな関係が続いていた。
その関係を続ける理由は、ただ一つ。
名瀬のことが好きだってこと。
若い頃何となく流れでエッチして、相性良かったからってことで誘われるようになった。
間違いが起こることが無い、性的欲求を満たすことの出来る身体を手に入れた名瀬は、定期的に関係を求める。
行為が終わると、さっとシャワーを浴びて部屋を出ていった。
「...名瀬...」
呟きは誰に聞かれることも無い。
知らずに零れ落ちてる涙。
朝はまだ来ない。
事務所に行くとMSの町野が話しかけてきた。
コンサートのバックを務めてくれる、大切な仲間。
俺のこと好きだなんて公言してる、変わったヤツだけど、好かれるのは嫌ではない。
「洸介さん、今日遊びに行ってもいいですか?」
好きを全面に出してくる町野は後輩として可愛いと思う。
人付き合いの悪い俺に、犬のように尻尾を振って話しかけてくる後輩はMSのメンバーくらい。
その中でも町野は家にきたりするまでの仲になっていた。
「遅くなってもええなら」
「やった!仕事終わったら連絡ください」
二日連続で名瀬から誘われる事は無いから、大丈夫だろう。
...まずは名瀬の事を考えてしまう悪い癖。
誘われると断れない自分が嫌になる。
暗くなる気持ちを振り払うように、仕事に集中した。
仕事が終わり町野に連絡すると、すぐにやってきた。
軽くお酒を飲みながら、仕事関係の話をする。
ふざけてることの多い町野だが、今日は何故か静かな雰囲気。
「洸介さん」
「ん~...なんや?」
頭を撫でられ、抱き締められる。
「町野...?」
甘い空気が周りを包んでいく。
この空気を俺は知っている。
このままじゃいけないって事も。
「どうした?珍しく酔ってるやろ」
「...違います」
「じゃあ...っっ!」
不意に唇が塞がれた。
優しくするその口付けを、俺は知らない。
「俺、本当に洸介さんのこと好きです。俺と付き合ってくれたら、絶対智希さんのこと忘れさせる自信あります!!」
「なっ!なんで、知って...!」
「...ずっと見てるから、分かります。洸介さん智希さんのこと好きですよね?」
関係を知られたかと思い一瞬慌てたが、そうでは無かったようだ。
俺...人に分かるくらい態度に出てた?
「あ、大丈夫ですよ。気付いてんの俺くらいなんで。...それくらい洸介さんのこと好きなんですけど」
心配が顔に出てたのか、フォローするように言った。
そしてまたキス。
「...拒否してくれないと、調子に乗っちゃいますよ?」
キスが...想いが...心地よくて、抵抗しない俺に、町野の口付けは深くなっていく。
名瀬のことが好きなのに、初めて感じる満たされたような不思議な感情が抵抗する力を奪う。
「キス、好きなんだ?」
突然の第三者の声。
確認しなくても分かる、名瀬だ。
弾かれるように町野の身体を押しのけた。
「なんでっ」
「メールしたけど、返事が無いから勝手に来ちゃった」
確かに合鍵は渡している。
だけどそれが使われる事はこれまで一度も無かった。
なんで、このタイミング...。
「洸介さん...」
合鍵を持っている名瀬に、その関係がどんなものか計り兼ねている町野。
そんな町野を無視して名瀬は話を続ける。
「まさか、浮気してるなんて思ってもみなかったけど」
「浮気って...俺たちは...」
「洸介は俺のこと好きだと思ってたけど、違った?」
自信たっぷりな名瀬の言葉。
俺の気持ちなんて、バレバレだったってこと?
「俺は...」
何も言えなくなる。
そんな俺を抱きしめる町野。
名瀬から隠れることが出来て、少し安心した。
「俺、洸介さんが好きです。付き合いたいって思ってます!...智希さんはどうなんですか?」
力強い町野の言葉。
きっと大切にしてくれて、幸せな気持ちになれるのだろうけど、そこに踏み出せない。
それは、俺の気持ちはとっくに決まってるってこと。
揺れる感情とは別の、もっと深いとこにある気持ち。
「俺も好きだよ」
「名瀬...?」
思いがけない告白。
そんな素振り全く無かった。
「...ハマるのが怖くて、一歩進むことが出来なかった。これ以上の関係になったら洸介しか見えなくなる気がして」
熱い告白に、町野の腕が離れていく。
「そんなこと聞いたら、俺、諦めるしか無いじゃないですか」
「町野...」
「...でも、泣かされたらいつでも言ってくださいね!奪いにきますから」
町野が家から出ていき、無言の時間が過ぎていく。
どうしていいか分からない。
名瀬が近付いてきて、頭を撫でられた。
その撫で方が、今までにないほど優しくて、自然と涙がこぼれる。
「カッコ悪いな、俺」
「名瀬...」
「まぁいいや!カッコ悪いついでに、全部洸ちゃんに捧げるよ」
優しい、優しいキス。
「初めは...キスなんてしたら、洸ちゃん逃げてくと思ってた。そのうち自分の気持ちが暴走しそうで、キスなんて出来なくなってた」
「んっ...」
「もうとっくに洸介にハマってるのに、それを認めるのが怖くて、一緒に居るの避けてた」
言葉の合間で繰り返される口付け。
身体中に広がっていく快感。
気持ち良すぎて何も言えない。
「洸ちゃんは俺のこと好きだって、だから離れることはないって思い込んでた。...町野と一緒に居るの見て、洸介が離れていくかもって思ったら、気持ち伝えないなんて選択は無かった」
「んんっ...ぁ...」
「...町野のよりいい?」
突然のいじわる気な名瀬の問いかけ。
「...聞かなくても顔みたら分かるけど」
俺が答える前にそう言った。
「でもなぁ、蕩けるような顔してたから、かなり嫉妬した」
「それは...っ」
名瀬から与えられることの無い、好きだって感情に気持ちよくなってただけで...。
「俺が悪いんだけど」
言わなくても分かるよって、そんな言葉。
どうしよう...名瀬が欲しい...。
何度も繰り返される口付けに、身体が名瀬を欲していた。
「そんな顔、絶対に俺以外に見せないで」
独占欲を見せる名瀬の顔。
その気持ちさえ嬉しい。
深く繋がるその行為はいつもと同じはずなのに、いつも以上に気持ちいいのは...名瀬の想いが伝わってくるからなのかな。
「ぁっ...ヤ!名、瀬ぇ...」
甘えた声が出て、名瀬がもっと深くに入ってくる。
「智希って呼んで?」
「ぅ...あっ...と、も...智希」
甘い空気に逆上せた俺は、言われるまま名前を呼ぶ。
その声に反応して、中でまた大きくなる名瀬。
「も、無理ぃ...!」
一際大きくなった名瀬自身で奥まで突かれて、意識が飛びそうになる。
こんなこと、ハジメテ...。
「あっ!...や、ぁぁっ」
「洸ちゃん!可愛い。もっと見せて...」
嬌声を放ち、白濁を出す。
信じられないくらいに感じて、気持ちが高ぶる。
名瀬が奥に自身を吐き出したら、強く抱きしめてきた。
「...こんなに感じてくれるなら、もっと前から気持ち伝えとけば良かった」
そう言いながら、中にあるものを掻き出してくれている名瀬。
いつもとは違う、事務的では無い愛のこもったその行為に、信じられない事だが下腹部に熱を感じてきた。
「ぁ...!」
「洸ちゃん...」
不満気に漏れた吐息。
それに気づいた名瀬の指が、意味を持って動き出す。
「綺麗にしてるだけ...だったんだけどね」
先程まで名瀬を受け入れてたソコは、指だけでは満足出来なくて、無意識に腰が揺れていた。
苦笑いを浮かべる名瀬だけど、すぐにソコは名瀬で満たされた。
「好きだよ」
「あっん...俺、も」
夜が深まった頃、二人眠りにつく。
愛されると言うことが、こんなにも気持ちいいことだったなんて知らなかった。
新しい世界に戸惑いながらも、受け入れていく。
もう想いは一方通行では無い。
*****
セフレバージョン。
もうちょっと洸介に辛い思いさせることも出来たけど、そこは短編なので最後はやっぱり幸せな甘々になってしまいました!
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