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雨音 Side:洸介
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毎日苦しくなって目が覚める。
白んでくる空とは違い、俺の心は明るくなることは無い。
どうしてあの温かい手を離してしまったのか。
優しく笑うアナタの全てを、自分から手放した。
あの日から俺の世界に光は無い。
色んなことが重なって、深い闇の中に居た俺には、名瀬から与えられる光が眩しすぎた。
燻ってる俺を名瀬は面倒に感じていたのかもしれない。
別れを告げるとあっさりと離れていった。
自分から言ったくせに、引き止めて欲しかったなんて...本当に面倒なヤツだったんだ。
あの日から3年。
仕事に関しては落ち着いたと思う。
でも相変わらず心の中は暗闇に覆われてる。
でもそんな俺のことを好きだって言ってくれる人が現れた。
ソロコンのバックダンサーの一人だ。
「洸介!」
そう呼ぶ声は、明るく...名瀬に似てる。
だからなのか、少しずつ心を許している自分がいた。
家に来るようになり、そう言う風に好きだって言われて、淋しさを埋めるために付き合おうと思い始めた頃。
不意にされたキスに、涙が溢れ出た。
それは明確な拒否。
名瀬と初めてキスした時は、もっとって思うほどに嬉しかったのに。
「ごめん」
それだけ告げて、その人とはそれっきり仕事の関係に戻った。
俺は名瀬との幸せだった日々を思い出してしまい、自然と思い出のマンションへと向かう。
雨が降っていたが、気にならなかった。
どのくらいそうしていたのか...
「...洸ちゃん?」
間違えようのない、逢いたくて仕方のない人の声に驚いて見つめる。
なんでここに居るんだろう?
「どうした?風邪ひくよ」
久しぶりの再会。
伸ばされた手にビクついてしまったが、そのまま手を掴まれ車に連れていかれた。
助手席ではなく、後部座席である事に、名瀬との距離を感じる。
「...俺の家でいい?」
バックミラー越しに目が合って、頷いた。
家に着くと、浴室へ連れてかれた。
タオルと着替えを用意してくれてシャワーを浴びるように言われたので、素直に従う。
昔同じようなことがあった時には、一緒にシャワーを浴びたな...なんて思い出す。
理由も無くびしょ濡れで帰ってきた俺に、とにかく驚いていた名瀬。
あの時も優しく接してくれた。
でも今日は違う。
優しくしてくれるのは、ただほっとけないからだろう。
浴室から出るとリビングに居た名瀬に声をかける。
「...ごめん」
名瀬を見ることはできなかった。
今起こってる出来事に、これからどうしていいか分からずうつむき加減で立ち尽くす。
「いや、俺こそ無理矢理連れてきてごめん」
どうしてこんなにも優しいのか。
どうしてこの温かい人を手放したのか。
後悔が溢れ出て自然と涙が出る。
抱き締めようとし、留まる名瀬の手がきつく握しめられてるのを見て、困らせているのが分かった。
「ごめ、俺...なんで」
だけど涙は止まらない。
逢えなくて苦しく思う気持ちも、悲しくてどうしようもなくなる気持ちも、勝手に別れを告げた俺への罰だと思ってた。
なのに、逢うとこんなにも温かく包んでくれる。
それは不意に訪れた。
泣いてる俺を引き寄せ、抱き締めてキスをする。
何が起こったのか分からず驚いたが、すぐにその行為を受け入れた。
優しい口付けに幸せを感じて、それが深くなっていっても抵抗なんてできなかった。
「...止まらなく、なるけど?」
完全にオトコの顔になっていた。
その言葉の意味は分かっている。
今の関係でするような事じゃないことも。
だけど俺を欲してることが嬉しくて「いいよ」と答えた。
久しぶりにするその行為に少なからず恐れを感じていた。
3年もシテないから当たり前のことだけど。
それに気付いてるのかどうか分からないけど、名瀬は初めての時のように優しく愛撫してくれる。
「...ぁっ...!」
名瀬の指が気持ちいいとこにあたり、自然と喘ぎ声が出た。
恥ずかしくなって目を伏せる。
「ココいいの?」
瞼にキスして名瀬が問う。
気持ち良すぎて頷くことしか出来ない。
ソコを中心に責められ、覚えのある熱が俺を襲う。
ソレを求めて腰が揺れ始めた。
「ん、あっ、あぁぁっっ」
何度も指で突かれ、矯正をあげて白濁を出す。
イッた瞬間、名瀬が愛おしそうに俺を見ていた。
「挿れるよ?」
頷くのを確認して、ゆっくりと挿入してきた。
十分に解されてたから痛くはない。
ただ、久しぶりに感じるその圧迫感に眉を寄せる。
「...あっ!...っっ!!」
それでも名瀬のことを覚えてる身体は、すぐに快感を思い出す。
奥に名瀬を感じて、どんどん気分が高まった。
何度も突かれて、絶頂はすぐそこ。
「や、あっ...ともっ!あ、あぁぁぁっ」
無意識に呼ぶ声に、名瀬のは一際大きくなり、奥深くに白濁が出された。
久しぶりの感覚に動けなくなっている。
名瀬は後処理をして抱きしめてきた。
しかしすぐに離れていく身体。
「...あ」
それが今の関係を表してるようで悲しくなる。
俺の声に、離れかけた身体が止まった。
「洸ちゃん...?」
「俺...」
俺が終わらせた関係。
なのに戻りたいなんて言えない。
名瀬にも新しい生活があるはずだ。
でも...先程の行為を思い出し、期待してる自分がいる。
名瀬は、急がせないように、落ち着かせるように、そんな風に頭を撫でてきた。
「なん、で...そんなに優しくするんや...」
「なんでって...」
「俺、名瀬のこと捨てたのに!なのに...」
また涙が出てきた。
これ以上は駄目なのに、気持ちが止まらない。
「忘れられへん...。心のどこかで名瀬を求めてしまう」
俺の言葉に撫でていた手の動きが止まった。
信じられないと言うような表情。
「自分勝手なんや。苦しくなると名瀬との思い出の場所に行って...。名瀬居ないの分かってるのに」
3年間、何度も繰り返されてた行動。
逢えるわけないのに。
「名瀬はとっくに俺のこと忘れてると思っとった。でも抱いてくれて、期待してしまう自分がおる」
そんな都合のいいことある訳ないのにね。
止めどなく溢れ出る涙。
もう言うことは決まってた。
「好きや...また一緒に居たいって言ったら、名瀬は困る?」
一縷の望みをかけて告白をする。
言葉より先に名瀬の身体が動いて、抱き締められた。
「俺も、洸ちゃんのこと忘れられなかった。別れてからもずっと好きだったから」
「...っ!」
抱き締める腕に力がこもる。
次にしたキスは、二人の想いが詰まっていた。
一度名瀬を受け入れたソコは、二度目の行為をすんなりと受け入れる。
「...あ、んっ!とも、とも!!」
熱に浮かされたように、何度も名前を呼ぶ。
その度強く抱き締めて安心させてくれる。
「洸ちゃん、好き。もう二度と離さないよ」
言葉と共に強く突かれて、白濁を出してしまう。
快感が身体中を駆け巡る。
愛を確かめ合うようなその行為。
お互いの想いが溢れ出て止まらなかった。
情事が終わり、ベッドでゆっくりしていたが、俺には気がかりなことがあった。
ふと「ごめん」と呟く。
「...知っとるかもしれへんけど、仲良くしとる人がおった。俺のこと好きって言われて、付き合おうかと思っとった」
「うん...」
やっぱり噂を知っていた。
「でも、駄目だった。名瀬以外とそういうこと出来ひんくて」
「そうなの?」
「キスは...したけど...」
こんな話聞くの嫌かな...と心配になり名瀬の顔を見る。
「でも、嫌やった。名瀬とする時みたいに、もっとって思わへんねん」
俺の言葉を名瀬は慌てて遮る。
やっぱり嫌だったのかな...。
「ストップ。それ以上可愛いこと言うと襲いたくなる」
「あ...」
心配する俺とは裏腹に、名瀬は見当違いのことを言った。
見ると名瀬の下半身が少しずつ元気になっている。
ソレを見て顔が赤くなる。
流石にこれ以上はキツい...。
落ち着くまで...と抱き締められてたら、その温もりにいつの間にか眠りに落ちていた。
もう二度と離れない。
そう心に誓って。
*****
別れからの再会バージョン。
続きではなく、お互い目線は初書きかも。
好きなのに別れてしまうこと、ありますよね。
好きだからこそ再会した時の熱はあついのです♪
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