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ビターショコラ
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甘く蕩けるような毎日は、いつになっても訪れない。
覚悟してた筈なのに、少し淋しい。
でも俺たちの現状を考えたら、どうにもならない事だから、逢える時間にいっぱい愛し合う。
甘いばかりじゃない、ほろ苦い想いも恋だよね。
グループ結成20年。
記念すべき一年なんだけど、どうしても多忙となってしまい、洸介との時間がまるで取れない。
すれ違いの生活で寂しそうな表情を浮かべてるが、フォローする時間すらなくて...。
それでも辛うじて同じ部屋では眠ってる。
今年に関しては多忙となるのが予測できてた為、寝るのは洸介の家でと決めていたから。
「ただいま」
眠る洸介に声をかける。
もちろん、返事なんて無い。
でも、寝顔だけでも見れると幸せ。
頬に口付けして、一緒に眠った。
目覚めると隣に洸介は居ない。
すっかり冷たくなっているベッドが洸介の不在を知らせてる。
「仕事...か」
ひとりごちて、ベッドから立ち上がる。
俺ももうすぐ仕事だ。
今日は雑誌の取材と音楽番組の収録の予定。
また夜中に帰宅になるだろう。
今日も起きてる洸介とは逢えない...かな。
記念の日がきて、慌ただしくその月が終わっていった。
たくさんの人からお祝いの言葉をもらい、Toyって愛されてるんだなって改めて実感。
大変な日々だったけど、それ以上に感謝の気持ちでいっぱい。
とりあえず記念日が過ぎ少し落ち着くことができる。
やっと洸介とゆっくり逢えるんだ。
そう思うと自然と笑みが零れる。
「...お前、にやけ過ぎ」
松尾くんの呆れた声。
「だって、久しぶりの休みだから洸ちゃんとゆっくり逢えるし」
メンバーには洸介との関係バレてるから、遠慮なく惚気させてもらう。
「相変わらずラブラブなんだねぇ」
「そりゃそうでしょ。こいつらお互いしか見えてないから」
「ほんま、フォローするこっちの身にもなって欲しいで」
太久麻くん、山中くん、リーダーまで会話に入ってきた。
「あ~...!俺も恋してぇ」
松尾くんの呟きに、周りはムリムリと笑う。
「松尾はみんなに優しすぎ」
「なんだよ、それ」
「みんなに優しいヤツは女にモテねぇ」
山中くんに言われて頬を膨らます松尾くん。
こんなにいい男なのに、なんで恋人が出来ないのか不思議。
話の区切りがついたとこで、解散となった。
洸介の家に行くと、洸介はまだ帰ってきてなかった。
仕方ないので、大人しくリビングで待つ。
冷蔵庫を開け、ツマミとビールを用意した。
呑みながらテレビを見ていると、洸介が帰ってきた。
「名瀬!!」
俺の姿を見て、駆け寄ってくる。
強く抱きついてくる洸介は涙目だった。
「名瀬や...!」
こうやって起きてる時に触れることすらままならなかった。
久しぶりの温もり。
「泣かないで」
「泣いてへんし」
涙が出てるのがバレて、嘯く。
俺の前でだけ泣き虫な洸介が愛しくて、抱き締める。
「ホント、可愛い」
瞼に口付けると、涙の味がした。
くすぐったそうに肩をすくめる。
そのまま色んなとこにキスをしていると、洸介の表情がトロンとしてきた。
甘い空気が、ゆっくりと部屋に充満していく。
切ない喘ぎ声。
優しく重なる身体。
久しぶりの情事は二人溶け合うくらいに熱く、甘いものだった。
満たされた顔で眠る洸介。
もちろん俺も、心も身体も満たされてる。
やっぱり恋は甘いのが一番!
*****
会えない時間をほろ苦いビターチョコとしたら、会ってる時間は甘いスイートチョコですね。
メンバーの末っ子ラブな感じも書けて楽しかったかも♪
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