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「ふひっ……ふぅあう……」
「ふざけてねぇでちゃんと俺の話を聞け」
「……はっ! はひっ! すみまへん!」
俺の腕から飛び出すように離れた鶴見の顔は、真っ赤だった。
いつも教室のすみっこで不健康そうに白く光っているのがウソのよう。
じっとりと湿っぽくて、焦点の合わない目もいまだけは俺を真っ直ぐにとらえていた。
「あっ、あの、ごめんなさい。ボールペンの犯人なら、ぼくです……」
こいつは根暗だが、誰よりも素直だ。
みっちり問い詰めて、こってり叱りつけてやるつもりだったが、正直に告白したことを尊重してやろう。
「そうか。またお前だったのか」
「はいっ、またぼくです!」
サイズの合わないだぶだぶの制服の袖を揺らしつつ、彼はちょっと嬉しそうに微笑んだ。
「昨日、赤色インクだけ減りがやたら早いってグチってたから、三色ぜんぶ赤にしたら、喜んでくれるかとおもいまして」
「喜ぶか!」
「えっ……、うれしくありませんでしたか!? どうして!?」
「分からないのか?」
「すみません。わかりません」
「お前なぁ……」
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