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鶴見はブレザーの裾をぎゅっと掴んで、くしゃくしゃにしている。
そんなに力いっぱい握ったら、アイロンを入念にかけないとシワがのばせなくなるだろうに。
いや、そもそもコイツの制服はぶかぶかすぎる。
機会があれば丈直ししたいと前から思っていた。
おそらく、成長したらちょうど良くなるようにと大きめサイズを買ったんだろうが、やせ細った手足に栄養の蓄えはなさそうだ。
「すまん。泣かせるつもりはなくて」
「いいんです。ぜんぶぼくがいけないんです」
ついにはその大きすぎる袖で顔をおおって、音もなく肩を震わせ始める。
「すべてリンリンのいうとおりです。ぼくが変なことばっかりするのがいけないんですっ……」
泣かれるだけでも困るのに、自虐なんてされた日にゃたまらない。
最悪だ、面倒臭ぇ、って頭の片隅ではシラけてる。
なのに引き返せない。
俺の良心が激しくグラついて、こいつが泣き止むまでそばにいたくなっちまう。
とりあえず、ハンカチだ。
制服が涙でぐしょぐしょになったらいけない。
ただでさえオーバーサイズでだらしがないのに、塩をふいてる服なんて不潔すぎる。
俺はキレイ好きなのだ。
そんなに俺に好かれたいのなら、泣く前にまず身なりを整えろと言いたい。
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