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帰りたい気持ちはグッと我慢。マンションの外へ出てすぐに弟たちにメッセージを送った。
スマホの通知は、案の定、弟たちの『いまどこにいる?』『夕飯は?』『腹減った!』『腹減ったんですけど!』『まじ夕飯は!?』という空腹の嘆きでいっぱいだった。
──「ごめんな。昨日は友だちのとこに泊まったんだ」
嘘偽りの無い文章をしたため、震える指で送信する。
すぐに三人全員から返信があった。
──『心配したけど許す。今度泊まるときは連絡くれ』
と、冷静なのは次男の俊也《としや》。
──『りん兄もたまには家事休みたいよね』
やさしい一言をくれるのは三男の渚《なぎさ》。
──『おれらも子どもじゃないし自分のことは自分でやるし』
まだガキのくせに妙に大人ぶるのは末っ子の潤《じゅん》だ。
三者三様に説教してくるに違いないと思っていたのに、届くのは不気味なぐらいやさしいメッセージばかり。
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