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「凛也! 聞いてるの!?」
頬をぶたれるような勢いで名を呼ばれるにつれ、心臓の鼓動が早くなる。
そのくせたいして血は巡らなくて、手も足も冷えていく。感覚がなくなるほどに。
かすかに震えだした手のひらを握り締め、ポケットに突っ込んだ。
「アナタ、家のこと何もしてないじゃない!」
声の主は無視されているにも関わらず、しゃべるのをやめない。わざとらしい溜息の連続で俺に“不機嫌”を訴えかけてくる。
「洗濯物がだいぶたまってるけど、どうしてやってないの。天気良かったはずでしょう? キッチンは散らかってるし、お皿も洗ってないのはどういうこと?」
久しぶりに会ったというのに“元気だった?”の一言も無い。
もう慣れた。
俺の母さんはそんな人間だ。
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