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「なんで昨日の夕飯はピザだったの? どうして作らなかったの? お弁当は?」
次々に飛んでくる質問に、俺は決して答えない。
答えたところで揚げ足を取られ、責められ続けるだけだ。
この十年間でそれを学習している俺は、なにも答えないままリビングのソファに横たわる。
「ちゃんとしなさい凛也。あなたがちゃんとしないと、みんなが困るの」
母さんの姿をもう何年もマトモに直視していない。一瞬でも視線を合わせたら最後、『その反抗的な目は何!?』と怒鳴られるだけ。
だから、俺にとって母さんは窓ガラスに映り込む半透明。
いつも顔の部分だけが影になって、よく見えない。
ずっと無視し続けているせいで本当に亡霊になったのだろうか。
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