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「やさしくなんかねぇ! バカか!? 殴ってんだぞ!?」
強がれば強がるほど、俺は虚しくなっていく。
弱弱しくて、なにもできなくて、完璧にはほど遠いはずの鶴見によって、俺のハリボテみたいな本性がむき出しにされていく。
「ぼくを、きらいに、ならないで……」
「なに言ってんだよお前はっ! 黙って……、こんなに、なるまで……」
やめてくれと叫んでさえすれば、すぐにやめられた。
どんなに小さな声でも聞き逃さないように俺はずっと耳をすませていた。
なのに、鶴見は黙って殴られ続けた。
「そんなだから、いじめられんだっ!」
両手だって自由だったはずだ。自分自身を守ろうと思えばいくらでも守れたはず。
繰り返される理不尽な暴力から、顔面をかばうことぐらいできたはず。
なのにしなかった。
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