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震えながら靴を脱ぐと、乾ききった唇の間から「お邪魔します」とあいさつがこぼれた。無意識だった。
こんなときにも律儀な自分に嫌気がさす。
「鶴見……、プリントを届けに来たぞ……」
途方もなく長く感じる廊下を歩き、リビングへたどり着く。
天井からぶら下がっているものは何もなかった。俺が初めてこの部屋へ来たときと同じように、目立つものは大きなベッド一つだけ。
鶴見の姿はどこにもなかった。
抜け殻のように、ベッドのふちから毛布がずり落ちていただけ。
「鶴見!」
返事はやはり、無い。
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