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痩せっぽちの腰や肩を思い出しながら毛布を抱きすくめ、髪や頬にしてはやわらかすぎる表面にそっと鼻を押し当てる。
「俺、あのとき……、気が滅入っておかしくなってた。お前に嫌われれば、なにもかもうまくいくってバカみたいなこと考えてた……」
毛布には鶴見の肌のにおいが染み付いていた。抱きしめられたときにいつも感じていた静かな香り。その正体は、生まれながらに抱えている孤独。
あいつの抜け殻みたいで、手放したくなかった。
「きっとそのバチがあたったんだな。結局、なにひとつうまくいかなかったよ」
染み付いた名残りを胸いっぱいに吸い込む。
いくら待っても鶴見の声はもう聞こえてこない。
「……ほんと、バカみてぇだろ」
泣きたくも無いのに、また涙が出ていた。
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