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相変わらず俺の居場所はなく、腹も減らない。
味が分からないせいで、食べることへの関心が薄れ切っていた。
一日中机に伏せたままなのだ。たいしたエネルギーは要らないせいだろう。
気づけば、窓の外に目をやっている。
どんなビルよりも遥かに高くそびえる一本のマンション。その先端に目をやっている。
今もあそこにこもっているのだろう、あいつは──。
誰に会うこともなく、自らの存在を主張するでもなく、ただ日々を溶かしている。
──鶴見。
「なあなあ! 次の授業、視聴覚室に移動だってよ!」
めんどくさそうに次々に席を立つやつらを横目に、俺は動かなかった。
現実なんてどうでもいい。
あいつのことばかり考えていた。
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