アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
409
-
◆ ◆ ◆
次の日のおにぎりに何かしらの返答を期待していたものの、なにも添えられてはいなかった。
と、いうかおにぎり自体がメッセージだった。
米粒が妙にがっちり固まっている。
ほとんどの粒が潰れかけていて、まるできりたんぽのよう。よほどの力をこめて握らなければこうはならない。
まさか俺が気づいたことに感動して、号泣しながら握ったのだろうか──と、想像しながら口に含むと昨日まではしなかった塩気がある。
──鶴見の涙と鼻水入りの塩むすび。
喉の奥がぎゅっと閉まった。
想像しただけで気持ちが悪い。だが、一度口をつけたものを捨てるのはしのびなくて噛まずに飲み込んだ。
その日のノートには『泣きながらにぎるな』と書いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
409 / 631