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こいつらの言う通り、俺の右手は今、ほとんど使い物にならない。
ナイフを奪うのに必死で加減ができなかったのかもしれない。それほど強く刃を握った記憶はないのに、親指から小指の付け根までバックリと開いていた。その一直線具合は縁起のいい手相のよう。
傷跡が残るかもしれないと医者に言われたが、構わなかった。
もし、鶴見の衝動をとめなかったらもっと深い後悔が俺の中に生まれていたはず。表面的な傷だけで済んで幸せだったと感じる。
──と、頭では思うものの、正直辛い。
食事や歯磨きやトイレにやたら時間がかかるのはストレスだった。ハシだってうまく扱えない。
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