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◆ ◆ ◆
放課後、帰る支度をしているとスマホにメッセージが届いた。続けざまに三件も。
てっきりあいつからの催促だと思った。少しニヤながら開いてみると、
──『今日は帰ってきちゃだめ』
予想とはあまりにもかけ離れた一言。なんのことだか頭が理解できなかった。
無理もない。差出人はうちの弟だったのだ。
──『母さんが夕飯作りに来るってさっき電話きた』
──『凛兄ぜったい怒られる(笑)』
それらに返信しようか迷ってるうちに、新たにもう一つ。
──『凛兄がいなくてもオレらちゃんとできるって母さんに言っとく! だから帰ってこないで!』
俺が倒れて救急車で運ばれた日から、弟たちは一気に成長した。
"もし兄貴がいなくなったら"という危機感が身についたらしい。自分たちで家事を分担するようになり、『凛兄は休んでていいから!』と口癖のように繰り返すようになった。
右手が動かないから、俺は文字通り手が出せない。見守っていることしかできない。
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