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バレンタイン8
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「……ありがとね。本当にありがとう。うれしい……うれしいなぁ……」
ふざけた調子からいっぺん、何度も何度も頭を下げてくる。よっぽど感極まったのか、服の袖で目の周りをごしごしと擦っている。
たいしたことはしていない。そんなに感謝されると、逆に申し訳ないぐらいだ。
「ぼくっ、ぼく、……バレンタインにチョコもらったの生まれて初めてなの」
「そうなのか」
「うん」
どんなにモテなくても、一般的な家庭の子であれば母親から一つぐらいはもらえるものだろう。
だが、鶴見にはそんなチャンスすら無かったのだ。
小さな小さなチョコを大事そうに両手で握りしめる姿が、全てを物語っていた。
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