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──“もしかしたら泣かせたんじゃねぇか?”
まさか。
鶴見も俺も高校二年。ガキじゃあるまい。ほんのちょっと強めに言われたぐらいでメソメソ泣くなんてありえないだろう。
不安をかき消すために、取り残した鶴見のほうを振り返ってやると、
「うっ、うぐ……うううっ!」
ガチ泣きしていた。
冷たい雨に当たり続けた子犬みたいにふるふると震えている。
言いたいことを言いだせずに、じっと我慢している顔だ。
厚ぼったいまぶたの下の瞳は、たっぷりとうるみ、まばたきと共に雫がボロボロと落ちていく。
──やめろ。泣くな。泣くんじゃない。
──泣かれたら絶対に放っておけなくなる。
「ごめんなさいっ……、もうしない、もうしませんから、リンリンっ……、きらいにならないでぇ……」
──嫌いもなにも、そもそもそんなに好きじゃないんだが。
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