アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12 報復は突然に
-
だが、ポケットに手を突っ込んでもハンカチはなかった。
どこかに落としてきたか、それとも覚えてないだけで誰かに貸したろうか──。
記憶を探ろうとした次の瞬間、
「なっ──」
頭の後ろ側で巨大なハンカチがなびいたような音が聞こえ、視界が黒にそまった。
使い古しのタオルみたいなゴワゴワした感触とカビ臭さが顔面に貼り付いて離れなくなる。
反射的にそれを引き剥がそうと伸ばした手は、右も左も何者かに捕らわれた。
まさか鶴見のヤツ、またくだらない恩返しを企ててやがるのか──と舌打ちしようとした瞬間、
「がはっ!」
自分の口から発せられたのはうめき声だった。
どうしてそんな声が出たのか自分のことながら理解できなかった。
数秒遅れでみぞおちのあたりに痛みが走る。びりびりと痺れるよう。
まさか──。
「──ッ!?」
もう一度、同じ痛みが同じ箇所にもたらされ、その正体がはっきりした。
何者かが俺の腹を蹴り上げている。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 631