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19 リンリン大丈夫?
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終わりのない地獄のようにも思えた時間は、遠くから聞こえたチャイムの音で打ち切られた。
ヤツらはまるでそうプログラムされたロボットのように急激に俺への興味を失った。
なかへと突き入れていた力も、身体を押さえつけていた手も、一斉に放れていく。
足音と気配が波のように遠ざかり、訪れたのは静寂。
「はぁっ、はーっ、はー……」
うるさいのは俺の心臓と呼吸の音だけ。
「くそっ……」
やり返すどころか、抵抗もできなかった悔しさに胸が震える。
両手を縛られ、視界を奪われ、蹴られ、殴られのやられたい放題。
挙句、下半身を丸出しにされ、謎のメッセージを刻まれて、ペンを突っ込まれるなんて──。
最低最悪。
不覚なんてもんじゃない。
いろんな意味で汚点だ。
人生最大の屈辱だ。
しかも、こんなぶざまな姿のまま、誰かに発見してもらえるのをじっと待つしかないとは──。
思わず唇を噛み締めたそのとき、
「……りっ、り、りん、りん……」
その存在をすっかり忘れていたアイツの声がした。舌足らずで不明瞭な声がそろりそろりと近づいてくる。
「リンリン、だいじょぶ?」
わざわざ返事をしてやる気力は無かった。
「リンリン!」
もとはと言えば鶴見が俺に妙なイタズラを仕掛けたからこんなことになった。
恩返しだか何だか知らないが、きっとコイツに関わっていたら俺はロクなことにならない。
そんな予感がした。
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