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「オレは必要ねぇよ。カノジョいるしっ」
その事実があてがわれるたび、俺はいつも反射的に奥歯を噛みしめている。
「凛也もカノジョ作れば? すっげぇ可愛い子と過ごしてたらイロイロと変わるかもしれねーぜ」
「バカ。そういうことじゃねぇって言ってんだろ」
健太は俺の恋愛指向がオトコであることを知っている唯一の人間だ。
俺が初めて恋心を抱いた相手でもある。
ガキの頃から、笑ったときにできるえくぼにドキドキしていた。
カッコイイというよりカワイイ系で、さらにいえば小型犬っぽい。上目遣いがちにくりくりとした丸い瞳がたまらない。
性格も悪くなく、誰に対してもわけへだてなく接して、人懐っこい。そのくせ放っておくとフラフラと一人でどこかに行ってしまう。その気ままさが他の誰よりも自由で、一緒にいて楽だったのだ。
中学の修学旅行の夜、場の勢いのままに半分本気で半分冗談の告白をしたら「そうじゃねぇかと思ってた」と返された。それから、
──「ごめん。でも無理だ」
そう断られた。
──「凛也がオンナだったらなぁ。もしオンナだったら絶対カノジョにしてたんだけどな。ごめんな」
あの日から俺と健太はただの親友だ。
いや、俺の気持ちに気づいていながらきっぱりと断り、親友として付き合い続けてくれる健太の勇気に感謝している。
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