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「珍しいな。カノジョから呼び出しでもくらったか?」
「そういうことっ! いやー、愛されすぎてつらいねぇ」
「うぜーよ、死んでこい!」
「まァ! 凛也ちゃんったらひどいっ!」
ふざけた調子で玄関先まで見送ったが、表面的すぎる掛け合いは虚しさを膨らませるだけだった。
告白が失敗に終わったあの日から、こういうことがよく起きるようになった。
俺は封印していた健太への気持ちがあふれかけ、健太はそれに気づいて俺を傷つけまいとしながらも明らかに逃げようとする。
それでも、きっと明日になったらまた元に戻るだろう。
元の“親友”に──。
「クソ野郎がっ」
健太を見送ったあと、無意識のうちに吐き捨ててしまった。
別にあいつを罵倒したかったわけでもない。自分のなかに渦巻いたやり場のなかった衝動を表に出したかったのだ。
誰にも届かないよう小声で放ったつもりだったが、
「──は、はひっ! ごめんなさいっ!」
ドアの裏から返事がきた。
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