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家のものには指一本触れようとせず、言うことをすべて吐き終えた母さんは帰った。
かけ直された呪いは、母さんの思惑通りに俺の体を突き動かす。
──だるい。めまいがする。なにもしたくない。泣きたい。
頭の中で悲鳴が聞こえるにも関わらず、体は容赦なく動いてしまう。
放置していた家事を次々にこなしていく。
母さんのお望み通り、完璧に。
たまっていた洗濯物を片付け、弟たちが汚したままにしていたキッチンを拭き、シンクいっぱいに積み上がっていた皿を洗う。今晩のために飯を炊き、最後にシチューを作った。
だが、味見をしてもなにも感じない。
うまいもまずいもなく、ただ舌が痺れている。
──「ちゃんとしなさい、凛也」
いくら完璧にしても、耳の奥にこびりついている母さんの声は消えてくれない。
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