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そのときの鶴見は、俺に叩かれたショックと混乱でぼう然としていた。
見開いているのに焦点がどこにも合わない目は下をむいたまま動かない。
そもそもなにが起きたか理解していないのだ。
数秒かけてやっと事態を飲み込んだらしい唇が、“なんで”と呟いたように見えた。
あまりにも無防備で、無抵抗で、無垢。
そんな相手に、俺は容赦なく次の一撃をくらわせた。こぶしを振り上げ、ためらうことなく──。
「ど」
殴りつけた瞬間、押さえつけたままの喉から声が漏れた。たどたどしい口ぶりの鶴見にしてはハッキリと発せられた声。
それがなにを意味しているのか。
──“どうして”
気づかないフリをした。
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