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「いいだろ? 行こうって」
「用事、あるから……」
今日初めて発した声は喉に絡み、ひどくかすれていた。
「どーせ家帰って飯作って寝るだけなんだろ? たまにはパーっと遊んだほうがいいって絶対!」
「そんな気分じゃない」
「そりゃあ、一日ずっと頭下げてりゃそうなるし。ちゃんと前見ろし」
健太は俺の両頬に手をやると、強制的に正面をむかせる。
その瞬間、俺は数日ぶりに他人と目を合わせた。鏡のなかの自分すら見ず、顔だって洗わないままだった。
恥ずかしさに目をそらそうとしたが、健太はまるで眼科医みたいに俺の瞳をのぞきこんで放さない。
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