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──凛凛凛凛凛凛凛凛
ノートのなかにおびただしいほど何度も繰り返されていたのは「凛」の字。
見慣れた字であるはずなのに、得体の知れぬ執着心を感じた。背筋に虫が這うようにゾクゾクする。
いや、よく見たら何か変だ。
最初の二字は正しく書かれていたのに途中から二つの点が三つに増えている。
気づかないまま、見開き二ページにわたってさんずいのリンが連なっていた。
「バカか……」
小学生の字みたいに大きくて、ヘタクソで、いびつで、おまけに間違えている字。
他のページもめくってみると、中学生レベルの簡単な漢字ばかり練習している。
「ほんと……バカだな、お前は……」
でも、あいつがちゃんと勉強しているのは嬉しかった。
間違っていたって、レベルが低くたって、生きる気力がある証拠だ。
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