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「おーい、そんなにコイツを助けたいなら今すぐ十万円もってこいよ」
「はははは! 安っ!」
「そこは百万じゃねーの?」
鶴見は言い返すこともなく、唇が「あ」とか「う」のカタチになったまま硬直する。
ヤツらはその弱さにつけ込み、さらに大きな声を上げて笑う。
怒りに震えていたはずの鶴見の体は威圧され、みるみるうちに縮こまっていく。腰が引け、膝が崩れそうなほどに前のめりになると、ついには自分で自分の顔をおおった。またメソメソ泣く気だ。
──なにしに来たんだ、バカ!
俺は床に押さえつけられたまま、両手を握りしめていた。動けない無力さで爪が割れそうなぐらいにキチキチと鳴っている。
鶴見の無謀な行動力とそれに負けずとも劣らない情けなさは知り尽くしているつもりだ。だが、ここまでだとは思わなかった。
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