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「ぼくはっ!」
すがるようにそれを握りしめている両手は、ひどく震えていた。本当は怖くて怖くてしょうがないのだろう。
臆病な自身を奮い立たせるかのように唾を飲み、グッと下唇を噛んでいる。
「こいつ、やばっ!」
「はっ……?」
「お……おい、うそだよな」
鶴見はなにを言われても返事をしない。
重苦しい前髪の隙間から恨めしそうに三人を見ている。膨らんだ鼻孔からもれる吐息は、間隔が不規則に乱れ、浅い。
「──やめろ!」
叫んだのは、誰か。俺か、他の三人か。確認する暇も術もなかった。
走り出した鶴見は、自分を殴ろうとしていた男めがけてナイフを振りかざした。
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