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「俺、お前のことが、すっ、好きなんだ……。付き合ってほしい」
これは俺が中学3年生の卒業の時。
高校が別になって会える日も無くなるから、最後のこの日に割と仲の良かった女の子に告白した。
「あー、ごめん!私、好きな人いるんだよね。あと、結衣くんは可愛いしちっちゃいし、なんか弟みたい」
そう、この時の身長……156cm……
ちっちゃかったのだ。
「そっか、好きな人いたんならしょうがないよな」
気になる、と思い菜々香ちゃんをチラッと見上げるとその考えが伝わったのか。ぼそっと教えてくれた。
「隣のクラスの、岡本くん。これ絶対ナイショだからね!」
ああ、あのクールでかっこいいとかでキャーキャー言われている人ですか。
岡本誠は顔が良くて頭が良くて、そこそこスポーツのできる男だ。
完敗だ。悔しいけど、どこも勝っちゃいない。
まぁ、高校になったらもう会うこともないし、菜々香ちゃんと岡本のことは忘れようと思った。
ーーー
「俺、冴島のことが好きなんだ。付き合ってほしい」
緊張か、恥じらいか。あるいはどっちものせいか、いつもの硬い表情が赤く染まっている岡本が俺の前にいた。
この言葉は、俺も言ったことがある気がする。
高校にはいって、告白されることが増えた。……男に。
全然嬉しくないモテ期は入学当初からで、高2になった今でも途絶えてなかった。
今回は、『東校舎2階の階段に来てくれ』と、授業中紙が飛んできた。
後から飛んできたためどこからか、誰からなのかは分からなかったが、俺はその授業が終わったあとの昼休みに指定の場所に向かった。
そしたら、かつての恋敵の岡本誠くんがきて、先程の流れに行き着く。
もう会わないだろうと思っていた男と偶然同じ高校で、1年でクラスが偶然同じになって、2年でも偶然同じクラスになって、告白……
どんな展開だよ。
「冴島……?」
「ああ、あの、ごめん、俺は男と付き合うとか、そういうのは考えてない」
告白されたらいつも言う言葉を、岡本にも同じように言う。
大抵の場合は断ったあとは、そっか、とか分かった、とかの筈だが岡本は距離を詰めてきた。
「……キス、してもいい?」
させてくれたらスッパリ諦める、とも言われた。
「はぁ?無理無理無理むりムリ!」
男とこんなことするのはごめんだ。
嫌だったから本気で腕を突っ伏して岡本を押しのけた
……はずだった。
ドンッ! という音と共に、俺の体が中を舞った。
体格差のせいだろうか、相手はよろめくこともしていなかったのに押した本人である俺が後ろに飛ばされるなんて。
後ろは階段だったため、体が下に落ちる感覚があった。
頭とかを反射的に守ろうとしたからか、腕をついて下に着地(?)したが、2本の腕だけで全体重を支えたため、すごく痛かった。
「いっ!!!!!!」
骨折を疑うくらい痛い(骨折したことないけど)
これはもう死ぬレベル。
あ、死ぬ。
落ちた衝撃で脳が揺れたみたいにくらくらする。
重く落ちてくる瞼に俺は逆らうことをしなかった。
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