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怪我して初日から5日もすると、岡本に慣れた。
初めはあまり話したことないし告白を断った側だしで色々気まずいと思うこともあったけど、たった数日で普通の友達みたいに話せるようになったと思う。
「そうそう、この前お土産でクッキー貰ったんだけど岡本食べる?」
今日は唐揚げと、肉じゃが、サラダを作ってもらって動かしにくいけど箸で食べた。
してもらってばかりじゃ悪いからご飯の後にはプリンやらアイスやらを上げていた。
今日はクッキーだ。
高そうな缶に入っているクッキーを棚から取り出して、岡本の方に行く。距離は全然遠くないけど、珍しく足を滑らせた。
右手には缶、左手はギプス。手を付くこともできないし顔面着地を覚悟した俺だったが、衝撃は言うほど痛くなかった。
「冴島、転んで怪我悪化させるつもり?危なっかしいなぁ」
倒れ込んだ先には岡本がいて、体を支えられていた。
ごめん、といって顔を上げると思いのほか近くてびっくりして俺は顔を逸らした
けど、背中を支えていない方の手で岡本が俺の顎を掴み、顔をクイッと挙げられた。
「冴島、...キスしてもいい?」
ついこの間も聞いたようなセリフ。同じ言葉でも、それを聞いて思ったことは少し違うような気がした。
顎を掴む手が唇をなぞる。
「ここには、しないから...」
そんな懇願するような熱っぽい視線を送られたって俺は...
跳ね除けるでもなく、嫌だというわけでもなく、俺はそれを肯定するかのように
固く瞼をギュッと閉じた。
やわっこくて少しカサついたような感覚が頬に感じられた。
「最初に言った時みたいに、断らないんだ」
何も言い返せなかった。
なんで俺は嫌がらなかったんだろう、自分でも分からない
でも、目の前の岡本がすごく嬉しそうな表情を浮かべていて、不思議と嫌だなんて思っていなかった、と思う
俺はおかしくなったんだろうか
「ちなみに、キスしたら諦めるとか自分で言ったくせに、全然諦めたくないんだ...。好きでいてもいい...?」
「...ん、勝手にしろ」
やっぱり、俺おかしい。
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