アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
21
-
岡本の家の前に着いた俺は、絶賛帰りたいと願っていた。
まともに会話すらしていない状態で家に行くって、ハードすぎだろ...。
おずおずとしている俺とは違い、竹下くんは何のお構い無しにインターホンを押した。
“鍵開けてあるから、上がって”
インターホンのスピーカーからは枯れてしまっているのか、声がいつもより刺々しく感じた。
「おじゃまー」
「お、お邪魔します...」
家に入ると竹下くんが自分の家のように階段に上がっていく。「2階にまこくんの部屋があるんやで〜」お気楽な声で告げられ、何度も家に入ったことのある様子だった。
さすが幼馴染だけある。
ドアの前に“まことのへや”と書かれた木製のプレートが吊り下げてあって、つい笑ってしまう。
「ああ、これ可愛らしいやろ。小学校の時の図工で作ってん。まこくんこういうの捨てられへん性格やから、ずっと飾っとんよ」
「...うん」
すごいな、自分のことみたいにそう言う説明ができて。やっぱり一緒にいる時間も長いし、幼馴染だし...。
俺は岡本のこと何にも知らない。
って、別に知ってどうするんだよ。俺には関係ないし。
この間からこんなふうな自問自答が繰り返されてる。
疲れてんのかな。
「結衣ちゃん!結衣ちゃんもはよ入り」
竹下くんはドアを開けてくれてて、俺はぼーっとしてたからその場で突っ立ってたみたいだ。
すぐ部屋に入ると、岡本の顔がすごい顔してた。
「結衣ちゃんも心配そうやったから連れてきたったで〜、サプライズや!」
「さっ、冴島?...おい、結弦来るなら言え...ゴホッ ゴホッ...」
俺が来ること知らなくて、焦ってるみたいだ。
俺が家に来ちゃ不味かったか?
「あぁ、ごめん、邪魔しちゃ悪いしすぐ帰るよ」
「いや、そうじゃない。冴島が来るなら部屋もっと綺麗にしとけば良かったとか、そんなこと思っただけだから」
「そうそう、結衣ちゃんが帰る必要ないで!あ、これご要望のゼリーですわ」
スーパーでかったゼリーとプリンの入った袋を渡す。
「ありがとう、本当に買いに行ってくれたんだ」
「金は倍にして返せよ〜、ってことで俺は帰りますか」
「「えっ」」
あまりに唐突に言ったので一瞬戸惑った。
ここで、俺も帰ると言えば良かったのに、タイミングを逃してしまった。
「結衣ちゃん、そいつ風邪ひいとる時に限って寝ぇへんから、見張りよろしゅうな〜」
さいなら〜、とドアを開けて出ていってしまった。
パタン、と閉まったドアの音にビクリと肩か跳ねる。
2人だけになってしまった...。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 36