アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
22
-
前まで普通に俺の家で二人でいることあったし、大丈夫。
「冴島、帰っても大丈夫だよ?熱下がってきてるし」
「もっ、もう少しいる...」
竹下くんが言っていたけど、今日は親がいないから買い物を頼んだらしい。
だから、俺が帰ったあととかに状態が急変しても駄目だし、少し残ろうと思った。
「ご飯は食べたのか?」
「うん、朝は普通に食べれたけど、昼は食べる気しなくて食べてないかな」
「そっ、か」
前よりもまともに話せてる気がする。
でも、相変わらず顔は見れていない。
「俺が冴島を手伝わなくても良くなった理由って、腕のやつ取れたから?」
テーピングをしてある左腕を見ながら、岡本ははっきりとしない口調でいった。
「ああ、もうギプスしなくて良くて、腕もある程度動かせるって言われた。だから、文字かけるし、テーピングは水に濡れても付け替えればいいし、大丈夫」
「よかったぁ、俺嫌われたのかと思った」
岡本は安堵の息を吐いた。
「ちがっ、嫌ってなんか...、むしろっ...、」
むしろ...
「?」
「...何でもない」
嫌ってなんかない、むしろ、......何?
だめだ、俺自身のことなのに、全然わかんねえや。
「取り敢えずっ、お前はこれ食って寝とけ」
袋からゼリーを取り出し、岡本に押し付ける。
岡本は、ゼリーを持った俺の手まで一緒に掴んだ。
「えっ」
思わず見上げると、岡本はにこりと微笑んだ。
「やっとこっち見た。ねぇ、俺のことなんで避けてるの?」
なんでって、この前のことが...
「この前、俺が冴島に嫌なことしたから...だよね」
「うん、それも...」
あと、この前それで抜いてしまったこと。
「“も”ってことは、俺、気づかないうちになんか酷いことした?」
違う。岡本は悪くない。
そう思って首を横に振った。
「原因、教えてよ。俺治すからさ。
好きな人に避けられるのって悲しいしね」
好きな人という言葉に顔が赤くなる。
「えと、岡本は悪くない...、ただ俺のせいだから」
理由なんて言えるわけないだろ、こんな気持ち悪いことしちゃって。
「俺は悪くないのに、避けられてるの?なんで?」
子供をあやすような優しい口調に、甘い顔。気を許せばなんでも話してしまいそうで怖い。
握られた手に少し力が入ってくる。
「何でもない...から。手、離して...」
その手は少し力を緩めた。そして、ゼリーをよそに俺の指を絡め取ろうとする。
「理由言ってよ、言わないと離さないよ」
さっきの優しい口調なのは相変わらずだが、獲物を捉えた獣のような鋭さに目がそらせなかった。
「俺っ、1人で...」
うん、と岡本は相槌を打ってくる。
「そのっ、この前の、あれをっ...思い出して...1人で、しちゃっ...て...」
手がパッと離されて、少しひんやりとした。
と、思ったら体を抱き寄せられて抱きしめられる。
「可愛い...。泣くなよ、冴島」
一瞬訳が分からなかったが、俺の瞳からは涙が出ていた。きっと羞恥心からに違いない。
背中をゆっくり摩られるのは気持ちよかったけど、小さい子供みたいな扱いに腹が立った。
「...泣いてないし」
声が少し震えてて、泣いてることがわかるようだったが泣いたと認めるのは少し尺だった。
「思い出してしたってことは上も弄ったってこと?」
「なっ」
なんてことを聞くんだっ
「言ってよ、俺、冴島のせいで傷ついたんだしさ」
お前も悪かっただろうが。
「ぃ...った...」
「え?」
「...だからぁ、上も弄ったっていってんのっ!」
なんで、こんなこと言わなきゃいけないんだよ。
抱き合ってるままだから、きっと岡本の耳はびっくりしただろう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 36