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注目の男
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二時間目が始まるギリギリを狙って教室へと戻った。
絶対にややこしい事態に陥ることは分かっていたし、神に絡まれるなんて、これ以上は真っ平ごめんだったからだ。
だけどその思いが通るはずもなく、俺はクラス全員から一斉に視線を浴びた。
「ねぇ、七瀬くん!!どういうこと?!」
「おい、七瀬!いつの間に王子と仲良くなったんだよ?!」
「えっ、ちょ、待って…っ」
一度に大勢に詰めかけられて、俺は混乱に目を回した。
何なんだよ、このパニック振りは!
諸悪の根源である神はどうしてる?!
俺の考えが伝わったわけじゃないだろうけど、そのうちのひとりが不貞腐れて言った。
「神くんに訊いても、もえに聞いてみてって言って、部屋から居なくなっちゃうんだもん」
「もえって、七瀬くんの事だよね?!ってか、何でもえなの~?!」
そんなの俺が聞きたいわ!
あいつが勝手に萌をモエ読みしてるんだから。
独自の解釈で呼ばれるんだから、俺には分からん。
「それにしても、今日の王子いつもと違うと思わない?」
「そう、それ思った!!」
「何を言ってるか聞こえなかったけどさ~、雰囲気違ったよね?」
だよね?とか、女子が同意しまくっている。
「ねぇ何で?!」
そして皆で確認が終わったのか、女子が興奮して俺に詰め寄る。
こんなに女子が俺を取り囲むなんて、初めての体験だ。
普通なら嬉しいだろうけど、これはちょっと違う。
いや、だいぶ違う。
遠慮願いたい。
男子も興味津々で集まっていて、本当に俺の周りはカオスと化していた。
「そんなの俺じゃなくて、神に聞けよ~ッ‼」
俺がいい加減ちょっとキレ気味に言うと、女子が逆にキレてきた。
「だって、王子。あれから直ぐに出て行っちゃったんだもん!!」
「七瀬に聞いてみろって言ってたしな」
女子と一緒に男共も頷きあっている。
男も王子に憧れてる奴、多いしなぁ…。
てか、神。
全部おまえの責任を俺に擦り付けるな。
「おい、もう授業が始まるんだぞ。席につけ!」
恐ろしい顔で迫ってくるクラスメイトに顔をひきつらせていると、厳しいと有名な林先生が入ってきた。
その後ろから、涼しい顔で堂々と神が入ってくる。
お前のせいだぞ、コラァッ‼
内心毒づく俺には目もくれず、神は自分の席へと着いた。
皆も慌てて自分の席へと戻っていく。
「はぁぁぁっ、疲れた。怖かった」
た、助かった…。
こんなんで注目されても、ちっとも嬉しくない。
俺は神の席へと視線を投げた。
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