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兎赤・クロ月・及影 『お姫様は結婚したくない』
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言い忘れてたけど受け女体化してます。
とあるお城の、とあるお部屋。
3人のお姫様達は、そこにいた。
【お姫様は結婚したくない】
「「私達が結婚!?」」
城内に響くのは、次女のケイと、末っ子のトビオの叫び声に近い悲鳴。
まぁ、それも仕方の無いことだ。なにしろ、お姫様達は今しがた、自分達が明日結婚相手を探す舞踏会を開かれることを知らされたのだ。
でも、その中で長女のケイジだけは、落ち着いていた。
長女のケイジは、17歳。下の2人は16歳。立派なお姫様になったかと思いきや……
「結婚なんて嫌です!」
「……魔法教えてくれる人ならいいかも…」
「…………」
長女のケイジは、いつも銀の重たそうな甲冑を、顔も、素肌でさえも見えないように自分の身に身につけ、次女のケイは、見た目的には普通の容姿(通常のドラゴンより美しい)だが、問題はその中身だった。
「……チッ……」
性格に難アリ。そして、口も悪い。お姫様らしからぬ特徴をもっていた。
末っ子のトビオがこの中で一番マシかもしれない。その残念な頭を除いたら。
3人は、今までは城の中でのびのびと、自由奔放に育てられ、誰のものにもならない、と自分達で決めていた。
そんな3人が明日、自分の夫となる人を見つけなければいけないなんて、とても無理な話だ。
「とりあえず……ケイ、トビオ。私は行かないと、お父様に言っておいて。私はもう部屋で休むから。」
「チョット、お姉様!」
更に、長女にはある秘密があった。
それは………
「ッ、///////!結婚とか、むりぃっ!/////」
ケイジは、とっても、とーっても、恥ずかしがり屋だったのだ。
ケイジが素を出せるのは、自分の部屋のなかでのみ。ここが、甲冑を外せる唯一の場所。前までは、家族の前でも甲冑を外すことが出来ていたが、今ではそれすらも出来なくなってしまった。
その理由は……
「あの子達に比べたら……私なんか……」
ケイジは、怖かった。
自分の妹達が成長するにつれ、どんどん綺麗になっていく。
それに比べて、自分は……
「……グス……ッ、うぇ…」
悲しくて、怖くて、
言いようのない不安に襲われ、泣いてしまう夜も少なくはなかった。
そのままケイジは、泣き疲れて眠ってしまった……
翌朝
「んッ、寝ちゃってた?……今何時……」
目を覚ましたケイジは、時計を見て驚愕する。
「えっ!もう昼前!」
いつもなら、まだ日がそんなに登っていない朝方に起きるのに、今日はもう1時間もすれば昼という時間に起きてしまった。
「早く着替えなきゃ……」
誰もいない部屋に呟いて、身支度を始める。
といっても、顔を洗って、髪を整え、シャツとズボンを着て、その上からいつもの甲冑を付けるだけなので、他の女性よりは簡単に終わる。
「……これでよし。」
そう言って、部屋の外に出る。
「おはようございます!騎士団長!」
部屋の外には騎士が立っていて、いつもと同じ元気な挨拶をしてくれる。
「あぁ、おはよう。」
部屋の外では、私は第1王女でもあるし、一騎士でもある。私は、その実力と何より妹達に危険なことをさせないように、私が騎士となり、みんなを守っている。
私は、昔はへなちょこな騎士だったが、今では騎士団の中のトップとして、みんなをまとめている。
「何か変わったことはあったか?」
歩きながら、後ろについてくる騎士に問いかける。
「いえ!騎士団長様のドラゴンのおかげで、今日も城下は平和です!」
「そうか、それは良かった。」
私は、ドラゴンを扱える。が、ある条件下でだ。
私の化身と言えるドラゴンを扱うのは、とても膨大な魔力が必要で、かつ、それに命令を出せる距離というものがある。
その距離は、せいぜいこの国の端まで。私は、そのギリギリまでドラゴンを飛ばしているので、いつもフラフラだ。
でも、甲冑のおかげで、誰も気づかない。
「そう言えば、今日は騎士団長様は舞踏会にご出席なさるのですよね?」
「あぁ、そうだ。」
「それならお急ぎにならなくては!先程、この国を救ったと言われている勇者様が、舞踏会に出席なさるためにいらっしゃってますよ!」
「!なに、もう来てるだと!?」
「はい、今日の任務は我々がしておきますので、騎士団長様はお行きになってください!」
「恩に着る!」
騎士に言われ、私は急いで大広間へと向かう。
大広間のドアを勢いに任せて開けると、想像以上に大きな音がして、そこにいた妹達が、一斉にこちらを向く。
「遅いぞ。ケイジ……何をしていた。」
この国の王であるお父様が、すごく怒った口調で私を咎める。
私は跪き、
「申し訳ありません……」
と、許しを乞う。
「まぁ、よい。それよりもなんだその格好は。失礼だろう。」
今の私は全身甲冑だ。こういう場所では、ドレスを着て、お客様をもてなさなければいけないのに…何の準備もしていない私を、召使いが捕まえる。
「ちょっ、離せ!」
「ケイジを連れて行って、ドレスを着させろ。……そしてその甲冑も取ってこい。」
「ッ、やめろ!」
暴れる私を、何人もの召使いが抑え、そのまま支度部屋に引きずられる様にして連れていかれる。
「いやだァァァ!!」
城内に、私の叫び声だけが響いていた。
3人の悪魔達は、城内の大広間でもてなされていた。目の前には、たくさんの料理と、2人の姫が。どちらも綺麗なのだが……
「あまり、ジロジロと見ないでくださる?」
「………」
片方は、とても辛辣な言葉をかけてきて、片方は無言で料理を頬張っている。
すると……
バン!!
大広間の入口が大きな音をあげて開き、そこから甲冑の女性が入ってくる。
「遅いぞ。ケイジ……何をしていた。」
王が怖い口調で咎める。
甲冑の女性は跪き、
「申し訳ありません……」
と、謝罪をする。
その声は、とても透き通っていて、耳に心地よく響いた。
「まぁ、よい。それよりもなんだその格好は、失礼だろう。」
そんなに気にしないのだが王としては、気になるところらしい。
召使いが甲冑の女性を捕まえる。
「ちょっ、離せ!」
「ケイジを連れて行って、ドレスを着させろ。……そしてその甲冑も取ってこい。」
「ッ、やめろ!」
甲冑は女性は、その一言に暴れだし、たくさんの召使いたちが女性を抑えにかかる。
そのまま引きずられるようにして、大広間から出ていった彼女の声が、城内に響いていた。
「申し訳ない、あの子は少し、問題があってな。」
「いえ、元気な姫様ですね。」
3人の悪魔達の内、1人が答える。オイカワ大王だ。
ボクトは今あった事など、聞いてもいないように料理を頬張り、クロオは目の前のお姫様にメロメロだ。
(ダメだコイツら……)
オイカワ大王の心の声は、誰にも察されず、この混沌とした空間の中で、静かに消えていった…
それからしばらくして……
顔を真っ赤にして、それでも最後の抵抗というように顔の隠れるレースを身につけ、真っ赤なドレスを着た先程の女性が、大広間におずおずと入ってきた。
「ケイジ、そのレースもとれ!」
「ッ、出来ません!…」
可哀想なくらい声が震えていて、ちょっと可愛いと思ってしまった。
すると、
隣に座っていたはずのボクトが、音もなく立ち上がり、スッとその姫の前に立つ。
「やッ、見ないで!」
どうやら、無理矢理レースを剥がして閉まったらしい。ボクトの手には、白のレースが握られている。
ボクトに隠れていて見えないが、彼女は少し泣いているようだった。
それも無理はない。いきなり目の前に立った男が、急に自分の顔を隠していたレースを取ったのだ。怖いと思っても仕方が無い。
すると、ボクトが、その姫を抱きしめ、
「……綺麗だよ、」
と、一言。
その一言で、抱きしめられている彼女はスッと力を抜いて、ボクトにされるがままになっていた。
「こら、ぼっくん!ダメでしょうが!」
俺は、慌てて2人の元へ駆け寄る。と、
腕の中の姫は、安心したようにボクトの腕に抱かれ、泣いていた。
「ねぇ、これどうしよう…」
自分から手を出したくせに、オロオロしているボクトに、王が言う。
「すまないが、その子を部屋まで連れて行ってやってくれないか。」
王は更に続ける。
「その子がそんなに安心している所を、久しぶりに見た。貴方なら、大丈夫だろう。」
王は、慈愛に満ちた目で、姫を見つめる。
ボクトは頷き、姫を抱き抱え、大広間から出ていく。
大広間に残された俺達は、呆気に取られながらも、また食事を開始した。
ボクトなら、大丈夫だろうと信じて……
……To be continued
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