アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
兎赤・クロ月・及影 『誰のものにも、したくない。』
-
「お前の部屋は何処だ?」
「ここを、まっすぐ、そしたら、ひだり……」
嗚咽混じりに、道順を教えるこの子に、恋をした。
『誰のものにも、したくない。』
着いた部屋には、『KEIJI』のプレートが。
「あ、ここか。……入るぞ?」
「ん、…」
部屋の中は、至って普通だった。
でも、何かがおかしい……
「……物が、空くねぇな。」
ケイジの部屋は、あまり女の子らしくなかった。
大きなベッドに、衣装ダンス、そして机とイス、たくさんの甲冑おき……
「せっかくこんなに可愛いのに……」
勿体ない。俺はそう思った。
腕の中のケイジが、少し身じろぐ。
「……もう、大丈夫です。すみません…」
俺は素直に、ケイジを下ろしてやる。すると、ケイジは他のものには目もくれず、甲冑の前に歩いていく。
「……何が、怖いの?」
俺はケイジに問う。ケイジは頭だけ甲冑を被り、こちらを向く。
「……この甲冑を被っている限り、」
………私は、無敵。
その言葉は、まるで自分に言い聞かせているようで、思わず抱きしめたくなった。
ギュオォォォォン!!!
「ッ、どうした!」
遠くから、龍の咆哮が聞こえる。
『騎士団長様、至急、いらしてください!!』
「分かった、今行く。」
ケイジは、全身に甲冑を身に付け、
窓から、外に飛び出した。
「ぎゃぁぁ!ケイジが、死んじゃう!!!」
俺は、窓の外に頭を出して、様子を伺う。
ケイジは、空を飛んでいた。
逞しいドラゴンの背に乗って。
「私のドラゴンちゃん。何があったの?」
『敵が来た。悪魔の連中だ。国の入口のところまで来ている。そんなに多くはない。』
「分かった、力を貸して?私のドラゴンちゃん。」
『あぁ、任せておけ。』
ケイジと、ドラゴンは、仲良さそうに話している。
なんか、気に食わない。
「お、おりゃァァァァ!」
俺も、窓から飛び出した。
ふわり。
「うぉ、高い……」
こういう時、翼があって便利だと思う。俺の真っ黒な翼でも、空を飛ぶことは出来る。
「ケイジ、俺も行く。」
すぐにケイジに追いついて、そのドラゴンの背中に乗る。
『なっ、ケイジ以外がオレの背に!乗るなっ!』
「こら、ドラゴンちゃん!暴れないで!」
暴れ出すドラゴンは、あわやケイジまで落としそうな勢いで目的地まで飛んでいく。
「多分、このドラゴンが話していた悪魔達は、俺達のお客さんだ。」
はるばるこんな所までやって来て、全く、暇な連中だ。
でも、まぁ、退屈しないで済むか。
『着いたぞ……』
私が守るこの国は、東西南北にそれぞれ1つ、門がある。その門は、それぞれ私の部下である騎士達が守っている。
今回は、その中で1番大きい北門から、敵が攻め入ってきているようだ。
「わぁ……沢山いるね。」
『そうだな……こんな量の悪魔を見たのはあの戦い以来だ。』
「じゃ、行ってきます。」
私は、ドラゴンの背から飛び降りる。
そして、眩い炎と共に、私はドラゴンは同化した。
「うぉわ!すっげぇぇぇ!!!」
ボクト様は、自分の翼があるし、大丈夫だろう。
私は、ドラゴンの翼を借り、悪魔達の上から大声を張る。
『悪魔達よ、今すぐここから立ち去れ!』
私としては、ここで大人しく帰って欲しかったが、悪魔達的には、そうはいかないらしかった。
しかも、私の隣には、悪魔の裏切り者であるボクト様がいる。
より一層激しくなった雄叫びに、私の中のドラゴンが騒ぎ出す。
(ケイジ、もういいんじゃないか?早く発散したい…)
(そうだね……じゃ、またいつもみたいに炎を貸して?)
(うむ……)
次の瞬間、カラダが沸騰しそうなくらい熱くなる。
目の前が、真っ赤に染まる。
私の手のひらから、どんどん炎が生成されていく。それを中心に集めて、ひとつの大きなかたまりにする。
そのかたまりを、悪魔達の上に………
ギャァァァァァ……
『アハ、アハハハハッ!!!』
炎が、悪魔達をとりこみ、悲鳴とともに全てを焼き尽くしていく。
この瞬間ばかりは、とても楽しい。
それは、ドラゴンの感情なのか、それとも私の感情なのか………
まぁ、なんでもいいや。
隣に居たボクト様は、唖然とその光景を見ている。
『もっと、………もっと炎ヲ!!』
「そこまでです。姉さん。」
後ろから、ひんやりしたものに包まれていく。
気持ちいい……。
(ドラゴンちゃん。ありがとう。もう大丈夫……)
(そのようだな。……では、俺はいくぞ。)
次の瞬間、フッ、と身体から力が抜ける。
「ボクト様……ですよね?…姉のことはおまかせください。」
「あ、あぁ……」
「トビオ……ごめん。」
私の意識は、そこで途絶えた。
……To be continued
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 16